新型コロナウイルスの感染拡大について、加藤厚生労働大臣は「フェーズとしてこれまで感染経路が見えていたものが見えなくなってきたという状況がいくつも発生してきている。状況は異なってきたと認識している」と述べた。
このような展開になりうることが、内閣の誰にも予想できなかったようだ。
明日の16日の夕方に『新型コロナウイルス感染症専門家会議』を開いて、国民が医療機関に診察を受けるうえでの目安となる指針などについて議論するそうだ。
これについても、「今頃から考えるのか?」と言いたい。
フェーズが変わってきた段階でどうするのかという対応策について、事前に検討していなかったことを、加藤大臣は露呈させてしまった。
加藤大臣の正直な告白は、日本政府には危機管理というものがどういうものであるかが、全くわかっていなかったということを示している。
政府にはもちろん様々な情報があがってきていることだろう。
その中には確度が高そうな情報もあれば、荒唐無稽な情報も当然あるだろう。
荒唐無稽な情報は相手にしないということも大切だが、「荒唐無稽かどうか」を判定する基準は、「権威筋」からの情報かどうかのところに置いてはならないはずだ。
例えば、このウイルスについては、人工合成説というものが言われていて、それはお上品な立場からはなかなか受け入れにくいものであることは理解できる。
だが、人工合成説を支える根拠として、4箇所の塩基配列が自然界のウイルスには存在しないものであり、ウイルスが交差することで起こるようなものではないという指摘が、まじめな研究論文で指摘されている。
それを確実にそうだと考える必要はないし、先入観的に受け入れがたいと思う気持ちもわからないではないが、根拠があることについては、結論を急がず、「そうかもしれない」と可能性を認めることが大切になる。
感染源、感染力、感染経路、死亡率、潜伏期間などについてもそうである。
だが、政府内部では、WHOなどの権威筋から出てくる情報を鵜呑みにして、それとは矛盾するような情報やデータを無視するようなことが、行われてきたのだろう。
そして、その結果として、「このウイルスはこういうものだ」というのを、1つに結論にまとめようとしてしまう。
これは危機管理の手法ではない。
危機管理的に考えるならば、根拠に基づいていると考えられるものについては可能性があると認め、そうした中でもっとも危険と感じられるケースが発生しかねないことを前提に、それをどう抑え込んでいくかを探るべきだ。
いろんな展開パターンを考えた上で、それぞれのパターンの中でどういう問題がどの段階で生じうるのかについて、まじめに考えておくべきだったろう。
中国からの入国を認め続ければ、国民が不安になってマスクや除菌スプレーの買い占めが始まり、街中から消えてしまうということを、政府は事前にシミュレーションしなかった。
街中からそういうものがなくなって、国民が困るどころか、医療機関まで困ってしまうということも、事前にシミュレーションしなかった。
していれば、こんな体たらくにはなっていなかったはずだ。
どういう展開になったらどういう対処をおこなうべきか、どういうアナウンスをどの段階で行うべきかなどを考えておいて、事態が新たなフェーズに向かって動き始めたことを察知した段階で、先回りするようにアナウンスすれば、国民はそこに安心感を覚える。
だが、政府のこれまでの動きを見ていると、常に後手後手になっていて、いきあたりばったりの対応に終始しているようにしか見えない。
また、危機管理においては、国民の命を守り、国民に余計な不安を与えないことを、念頭に置かなければいけないのであって、それとは関わらないことは、とりあえず考慮の対象に入れないというのも大切だろう。
習近平主席の国賓来日への影響とかを気にして、政策選択が行われていたとすれば、それは危機管理上行うべきことではない。
さて、今やWHOから示されていたのとは全く違った展開で動いているはずだが、それでも「このウイルスはこういうものだ」という自分たちの勝手な決めつけに今なお縛られている可能性がある。
ここを改めないと、現実と違う対応を今後も続けてしまうことになる。
今からでも、頭の動かし方を危機管理的に切り替えて、政府が適切な対応に改めることを求める。
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ネタ元となるNHKの記事
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