シンガポールのシンクタンク「東南アジア研究所(ISEAS Yusof Ishak Institute)」のASEAN研究センター(ASC)は、ASEAN(東南アジア諸国連合)の政策立案者やオピニオンリーダーなどを対象とした調査を行った報告書をまとめた。この調査は2020年の11月から1月にかけてオンラインでアンケートを集めたものである。このレポートによると、日本、中国、アメリカ、インド、EUのうち、ASEAN諸国にとって最も友好的で信頼できる戦略的パートナーとして選ばれたのは日本であり、その信頼度は一年前の61.2%から67.1%へと高まっている。
ちなみに第二位はEUの51.0%、第3位のアメリカは48.3%であり、日本に対する信頼と期待は飛び抜けていると言える。
なお中国に対する信頼はわずか15.6%に留まっただけでなく、逆に信頼しないとの回答が昨年の60.4%からさらに上昇して63.0%に達した。中国からの脅威が強まる中で、カウンターパートとして日本に期待する意識が高まっているのだろう。実際EUやアメリカに対する信頼度も日本同様に大きく上がっているのだが、これも中国に対するカウンターパートとしての期待が大きいということが関係しているだろう。
もちろん、日本を信頼できないとする回答も中にはあった。その中で理由としては、「日本にはグローバルなリーダーシップを取る能力や政治的意思に欠けている」とするものと、「日本は国内問題や中国・韓国などの北東アジア諸国との関係に引き摺られて、グローバルな関心事に焦点を合わせられない」とするものが圧倒的だった。これらは日本人から見てもうなずける理由ではないだろうか。
中国の脅威が高まる中で、軍事を含めた日本の国際社会におけるプレゼンスの増大はASEAN諸国の大いに望むところであるのに、日本はこの期待に応えていない。正しいことをまっすぐ選択しさえすればいいのに、中国、韓国、野党、マスコミの言うことに翻弄されてできていないのである。菅政権がASEANの期待に応える方向性を打ち出せば、中国・韓国・北朝鮮・ロシアを除いて、ほぼ世界中から歓迎されるのは間違いない。それができないことについては、歯痒い思いを感じる。
ところで、旅行先として最も行きたい国としてのランクでも日本は一位の座を維持しただけでなく、前年の26.2%から30.2%へと上昇した。アメリカの5.4%、オーストラリアの5.6%、中国の2.9%などと比べた場合に、日本に対する好感度の高さは際立っている。日本に旅行した知人からの情報も大きく貢献しているのだろう。外国人だからといってボッタクられることもないし、困っていれば普通に助けてもらえる。日本人の親切さと民度の高さが高評価につながっている側面は大きいのではないだろうか。
私たちはこうした日本のあり方にもっと自信と誇りを持っていいだろうし、日本と日本人に対する信頼感に応えた大きな役割を国際社会で果たして行くべきではないだろうか。
菅政権はマスコミや野党の言うことにビビっているようだが、正しい路線を思い切って選択した場合にこそ、むしろ国民の支持が高まるのではないだろうか。菅総理のマイナス評価としてリーダーシップに欠けることが指摘されているが、ASEAN諸国の期待に応えるような思い切った一歩を踏み出してみることを勧めたい。その方が政権浮揚につながるのは間違いないだろう。
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