アメリカのビーガン国務副長官は、日本・インド・オーストラリアとのインド・太平洋地域での4か国防衛協力(QUAD)を、NATOに近いものに本格的に強化したいという考えを明らかにした。
QUADは2007年に当時の安倍総理の提唱により事務レベル協議が開催されたものの、その後の動きはかんばしくなかった。2012年の第二次安倍内閣発足後にも日本からは積極的な働きかけがあったが、各国の思惑が一致せずに鈍い進展しかしてこなかった。
オーストラリアは中国経済に対する依存関係が強く、また日本ほど地政学的に中国の脅威を感じていなかったこともあって、一旦はQUADから離脱していた。
日米豪の潜水艦協力(日本の高性能潜水艦をオーストラリアが導入することを通じて、日米豪の防衛協力体制を緊密にしようとするもの)が、中国の横槍で簡単に挫折したのも、当時のオーストラリアが中国を脅威として見るよりも協力相手として見る傾向が強かったことに起因すると思われる。
インドはアメリカの技術や市場を自国の発展のために求めていはいたものの、アメリカ一極支配を最終的には覆し、世界を構成する多極のうちの1つになろうとする野望を抱いてきた。
その意味では、アメリカの弱体化を望みこそすれ、アメリカを補完するような立場になりかねない枠組みに対する警戒感があったと言える。
このように、自国の防衛のためにアメリカとの緊密な協力を是が非でも必要とする日本とは、オーストラリアもインドもかなり違ったスタンスにいたわけだ。
だが、中国がコロナパンデミックに際して無責任極まりない態度を示し、また戦狼外交によってその本性をさらけ出すに至って、オーストラリアもインドも対中認識を急変させた。
ようやくその環境が整ったと言えるのかしれない。
さて、ビーガン国務副長官は、この4か国が中国の潜在的な脅威からの防御壁として協力していくことを求めており、インド太平洋地域に必ずしも限定しないでこの枠組みを広げていく方針を示した。
ビーガン氏は日米印の3か国でインドのマラバールで毎年行われている軍事演習にオーストラリアが参加することもありうることを示した。
これを通じて、これまで関係が希薄だったオーストラリアとインドとの関係を強化していくものと思われる。
ビーガン氏は今秋にもデリーにこの4か国で会合を開くことが予定されていることも話し、この枠組みが急速に進展していることを明らかにした。
時代は完全に変わったと言えるだろう。
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ネタ元のサウスチャイナモーニングポストの記事
https://www.scmp.com/news/china/article/3099642/us-seeks-formal-alliance-similar-nato-india-japan-and-australia-state
サウスチャイナモーニングポストからの引用画像(ビーガン国務副長官)
https://cdn.i-scmp.com/sites/default/files/styles/1200×800/public/d8/images/methode/2020/09/01/5a24d454-ebc1-11ea-8288-5c49f42eee5c_image_hires_091250.jpg?itok=Tjy9q-o-&v=1598922779
Indian Defense Newsからの引用画像(QUAD)
https://i1.wp.com/indiandefencenewslatest.com/wp-content/uploads/2019/10/China-downplays-Quad-India-US-Japan-Australia-Meet.png?resize=640%2C410&ssl=1
News1242からの引用画像(そうりゅう型潜水艦)
https://news.1242.com/wp-content/uploads/2019/01/1024px-HMAS_Rankin_2007-2-1.jpg
CNNからの引用画像(戦狼)
https://www.cnn.co.jp/storage/2020/06/05/558b63ee0dac0b61e5399a142a6aeb82/wolf-warrior-ii-super-169.jpg
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