ウクライナでは親ロシア派が自称してきた「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」をロシアが国家承認して、この「両国」に「平和維持軍」なるものをロシアが派遣する動きになった。
これに対して中国が頭を痛めているということを、中国ウォッチャーの遠藤誉氏が指摘していた。
中国は今回のウクライナ紛争においてロシア側に立つ姿勢を見せた。北京五輪の開会式は西側諸国が要人派遣をボイコットする中で、唯一ロシアのプーチン大統領が大国の要人として訪中してくれたのである。当然これにふさわしい「見返り」があったはずで、その中にはウクライナ問題でのロシアに対する支持も入っていた。
もっともウクライナと中国は密接な関係を持っており、全面的にロシアを支持するわけにはいかない事情もある点は注意すべきだ。
ソ連邦時代のウクライナは軍需産業が盛んで、ウクライナの軍需産業は旧ソ連全体の30%を占めていて、 旧ソ連の地対空ミサイルの62%、戦略ミサイルの42%をウクライナが生産していた。ソ連の6つの造船所のうち3つはウクライナの黒海沿岸にあり、ニコラエフ港にある黒海造船所は、ソ連で空母を建造できる唯一の造船所だったそうだ。
こうした軍需産業の技術者が東西冷戦の崩壊とともに中国に高給で引っ張られ、中国の軍需産業の育成に大いに貢献した。中国初の空母「遼寧」もウクライナから購入したものであった。
ウクライナと中国は国交を結んでちょうど30年になるが、この間に貿易額は60倍に増えるなど、経済的な関係も強化されている。2021年の中国からの対ウクライナ輸出額は前年比36.8%増で、輸入額は25.2%増と、順調に増えている。
ウクライナは中国の一帯一路政策においてもヨーロッパにおける重要な拠点であり、中国としては無視しえない。
だから中国がロシアに寄り添う姿勢を見せたといっても、それはロシアが問題にする「NATOの東方拡大」に対して反対するということであり、ロシアの立場を完全に支持するというわけにもいかないところがある。
だとしても、ロシアが「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」について、ウクライナが「ジェノサイド」を行っているのであり、これら「両国」における「ジェノサイド」を停止させるのに、「人道的」な介入をせざるをえないことを理由として「両国」の独立を認めるという話は、中国にはあまりにも都合が悪い。
これは例えば中国が「新疆ウイグル自治区」でジェノサイドを行っているのを停止させるのに、人道的な介入をせざるをえないとして「東トルキスタン」として同自治区が独立するのを国際社会が承認するという潜在的な可能性を考えなければならないからだ。
当然こうした潜在的な独立候補はチベットや南モンゴルなどもある。さらに言えば、香港や台湾もこのなかに含めて考えることもできる。こんな話になるのはいかにも都合が悪いわけである。
したがって中国は「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」を国家承認をすることは絶対できない。中露が一枚岩には絶対になれない事情はいろいろとあるが、ここにもその事情の一端が見えるというわけだ。
こういう視点からウクライナ問題を見てみるのは視野を広げる役割を果たしてくれるのではないだろうか。
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遠藤誉氏の記事
https://news.yahoo.co.jp/byline/endohomare/20220223-00283482
プーチンと習近平の画像
https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/b/2/1200wm/img_b2e571af8e1cb9cf426d8aa794e16b7a34146.jpg
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