新型コロナウイルス感染症対策本部(「対策本部」)において、安倍総理は、今後の感染拡大の防止のためには、国民の協力が必要であるとした。
そのうえで、発熱等の風邪症状が見られるときは、学校や会社を休んで外出を控えることが大切で、休みやすい環境整備がいることを、学校や企業に求めた。
高齢者や基礎疾患のある方は、人混みの多いところを避けるよう、要請した。
さらに、国民に対して、落ち着いて行動するように求めた。
さて、私は首相の発言を超えるようなどんな話が「対策本部」において話されているのかを調べてみようと、首相官邸のサイトを調べてみた。
そうしたら、厚労省が出した「目安」と安倍総理の今回の発言を超えるようなものが、何一つ見つからないことがわかった。
事前予想通りではあったが、それでも失望を禁じえなかった。
以前にも指摘した話だが、厚労省の目安だと、インフルエンザが疑われるような高熱を発しても、4日間(高齢者などは2日間)は、病院に行かずに家にじっとしていることを求めるという、実に非現実的な対応を国民に求めている。
あれでは高熱を出した段階で病院に多くの人が行ってしまうのを避けられないし、そこで交差感染が発生しても止めようがない。
現実的には意味の薄い「目安」を示すことで、仕事をやったという「アリバイ」が作られているだけではないかと、言いたくなるわけだ。
相変わらず主要感染源である中国からの入国禁止の処置も取っていない。
潜伏期間でも周りの人たちに感染させたり、無症状の感染者が感染を広げることもわかっている。
目の前でお話する人が無症状だからといって、感染していないという保証はないのだ。
安倍総理の発言どおりに動けば、感染はないのかといえば、当然ありうることになるし、インフルエンザなどの別の病気に罹って高熱を出して苦しんでいても、動いてはいけないことになる。
恐怖を煽るつもりはないのだが、こうした状況に漠然とした不安を国民が持つのは当然であろう。
国民の不安を十分に消せるだけの方針を国が示すことができないでいながら、「落ち着いて行動するように」と言われても、それでは国民は落ち着けないものだ。
もはやここまで広がった以上は、感染するのはやむをえない。
自助努力をいくらやっても、完全に防ぐことなどできない。
感染しても、運悪く重症化しても、政府はここまでやるから不安がらなくても大丈夫だと示されないと、国民は安心感を持てないという当たり前のことを、政府が理解していないのが残念である。
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