人権・民主主義

予想通り、イランで体制の危機が発生! 政権崩壊まで進む可能性大! (朝香 豊)


人気ブログランキングへのご協力をよろしくお願いします!

イランが体制危機に陥るのではないかとの見立ては、すでにブログには数回記事にしてきたところだが、現実もやはりそのような方向で動いているように感じる。

ただ、私の論に対して、正確な理解をしてもらえていないなと感じるところもあるので、改めて話をまとめてみることにした。

まずイランのここ2年の経済状態だ。

イランの経済成長率は2018年がマイナス4.9%、2019年がマイナス8.7%だと、世界銀行は推計している。

国民生活の疲弊は想像を絶するレベルだ。

ところが失業率の公式統計では、2018年中はほぼ12%で横ばいとなっており、2019年になってからはなぜかどんどんと低下して、直近の数字では10.4%だということになっている。

こうした統計数値が全く信用できないのは言うまでもないが、こうした数字がインチキだろうという言論は、イラン国内には原則として存在しない。

イランでは厳しい検閲が行われていて、反政府的な言論は基本的には許されていないからだ。

昨年11月から反政府デモが激しくなってからは、インターネットへの接続もできないくらいに統制が強化された。

ところが、今回のウクライナ機撃墜事件について嘘の説明をしてきたことに端を発した反政府デモについては、イランの半国営のファルス通信までもがその様子を報道しているのだ。

これは、本来政府サイド以外には立つことがないメディアにおいても、反ハメネイ体制派が一定の影響力を発揮するようになったということであり、イラン政府の言論統制がうまく機能しなくなってきたことを意味する。

このように、体制内部で体制を支えるべきところで、次々と意外な動きが見られるようになってきたのが、現在のイランだ。

そもそもウクライナ機の撃墜にしても、単なるミスであるはずがない。

何があってもハメネイ体制を支える側に絶対に立つのが、イラン革命防衛隊の本来の立場だ。

そのイラン革命防衛隊の一部にハメネイ体制を崩すことを狙った勢力がいるということを示したのが、ウクライナ機にミサイルを打ち込むというテロ行為だった。

私が言いたいのは、イラン革命防衛隊全体がハメネイ体制に逆らっているということではなく、イラン革命防衛隊が一枚岩だとは決していえない状態に現在は陥っているということだ。

ソレイマニ司令官が排除された結果として、イラン革命防衛隊のほころびが表に出やすくなってきたと見るべきではないかということだ。

ハメネイ=ソレイマニ体制下では、苦しい国内経済を顧みることをせずに、対外テロ行為に資金も人員もじゃぶじゃぶと投入してきた。

国内の経済改革の必要性は以前から叫ばれ、国家資産の80%までの民営化を認めると憲法の規定を修正しながら、非効率な国有企業が国家経済の7割を占める経済体制の実際の変革は、遅々として進んでいない。

国家予算の3割が賄賂で消えると言われるほどの政治腐敗が蔓延している。

こうしたイランの国家のあり方に疑問を持つ考えは、イラン革命防衛隊の内部にも地下に溜まるマグマのような状態では存在していた。

そのマグマが、ソレイマニ司令官が排除されたことで、表に出やすい環境になった。

その結果がイラン革命防衛隊の一部勢力による、ウクライナ機の撃墜になったというのが、私の見立てだ。

そしてそれはイラン革命防衛隊だけでなく、目下非常に厳しい検閲下にあるはずのファルス通信にも現れた。

同様のほころびは、イランの各所で次々と表れてくることが予想される。

さて、最近始まった反政府デモは、ウクライナ機の撃墜について、イラン政府がウソの説明をしたからだと報じられている。

それは反面では正しいが、反面では間違っている。

ウクライナ機の撃墜についてのウソの説明は、反政府デモの原因そのものだというわけではなく、反政府デモの正当性を打ち出すための口実にすぎないからだ。

国民経済がどんなに疲弊しようと、対外テロ工作などにどんどんと資金を回していることに、イラン国民は薄々気付いていた。

ガソリン税を大幅に引き上げるような処置をとったのは、足りなくなった工作資金を賄うためではないかとの疑いを国民は感じた。

それが11月にイラン各地で起こった大規模な反政府デモの背景だ。

これを鎮圧するのに、少なくとも100名、多ければ数千名のイラン国民の命が奪われたと言われている。

知り合いの中で命を落とした人も数多くいることだろう。

誰々の知り合いが命を落としたという噂話なら、ほとんどの国民が1つや2つは耳にしていたことだろう。

今の政府のあり方に対する疑念はこういうところからも広がっていた。

何かきっかけがあれば、国民の怒りが爆発する状態になっていた。

そこに、ウクライナ機の撃墜についてのウソの説明という恰好の材料が登場したというのが実際だと思う。

それでも国民を弾圧する政府が一枚岩の状態の時には、これをなかなかはねのけるのは難しい。

だが、今の体制に疑問を持つ勢力は、権力機構の内部にも確実に広がっている。

イランの通信・情報技術相のジャフロミ氏も、ハメネイ体制の厳しい情報管理のあり方に否定的な見方を持っていると伝えられている。

常にイランをウォッチしている立場ではないので、正確なことはわからないが、このように支配層の分裂が公然と表に出てきたからこそ、この体制が終末に近づいている可能性も高いのではないかというのが、私の考えだ。

※ 日本再興のために、以下のバナーをポチッとしていただけると助かります。


人気ブログランキングへのご協力をよろしくお願いします!

これのネタ元のNHKの記事
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200114/k10012244241000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_005
画像はforeign policyの記事から
https://foreignpolicy.com/2020/01/12/a-public-relations-disaster-overtakes-iran-protests-airliner-suleimani/
https://foreignpolicy.com/wp-content/uploads/2020/01/GettyImages-1193110688.jpg?w=800&h=533&quality=90

無料メルマガ

最新情報やプレゼント特典などをメール配信しています!メルマガでのみ公開しているネタあり!今すぐ無料登録しましょう!

ピックアップ記事

  1. 難民認定を甘くすることに反対!(朝香 豊)
  2. 中国が「新型インフラ建設」の大型投資を打ち出す! 西側は勝てるのか?(朝香 豊)…
  3. TSMCの日本投資は大きなチャンス! 反対論者は日台離反工作に乗せられていないか…
  4. 「優生思想で危険」だとNumber編集部に非難の声! いやいや、危険なのはむしろ…
  5. 「なんでも批判」を反省しない立憲民主党! 戦前の「批判」政治の過ちを忘れるな!(…

関連記事

  1. 人権・民主主義

    日韓のメディア系の労組って、こんなに仲いいのね! 共同宣言発表! (朝香 豊)

    韓国の全国言論労働組合(言論労組)と日本マスコミ文化情報労組会…

  2. 経済

    国破れて山河なし! ソーラーパネルと風車の襲来!(松尾 利昭)

    人気ブログランキングへのご協力をよろしくお願いします!今回…

  3. 経済

    アルゼンチンがまたデフォルト! 新興国危機のラッシュか?(朝香 豊)

    人気ブログランキングへのご協力をよろしくお願いします!アル…

  4. 経済

    ドイツの銀行が顧客にマイナス金利を求める事態へ! 日本に飛び火?(朝香 豊)

    人気ブログランキング欧州中央銀行のマイナス金利政策も、導入…

  5. 経済

    資本論をブームとして持ち上げるNHK ! 実は自らがブームの火付け役のマッチポンプ!(朝香 豊)

    人気ブログランキングへのご協力をよろしくお願いします!およ…

  6. 経済

    中国の不動産バブル崩壊! 多方面にわたる影響と悲劇!(朝香 豊)

    人気ブログランキングへのご協力をよろしくお願いします!中国…

無料メルマガ

おすすめ記事

アーカイブ

  1. 韓国・北朝鮮

    韓国対北朝鮮のサッカーの試合 TV放送できない模様!(朝香 豊)
  2. 人権・民主主義

    SNSの勝手な検閲を禁止! ポーランドで新法制定の動き!(朝香 豊)
  3. 中国

    新型コロナウィルスは生物兵器として開発された可能性が!(続編)(朝香 豊)
  4. 安全保障

    中国のハニトラにかかった下院議員! ペロシは擁護!(朝香 豊)
  5. 安全保障

    アルプス処理水はトリチウム以外も安全! 科学に基づく判断を!(朝香 豊)
PAGE TOP