人権・民主主義

「フリーダム・コンボイ」にカナダ政府が「緊急事態法」で対抗! 民主主義を否定するトルドー首相!(朝香 豊)


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ワクチン接種義務化に反対する「フリーダム・コンボイ」の運動が広がる中で、カナダのトルドー首相は「緊急事態法」の適用を発表した。

「これはカナダ国民の安全を確保し、人々の仕事を守るものだ」と、トルドー首相は記者会見で語ったが、ワクチン接種やマスク着用を義務付けるといったことが、この感染症の対策としてどこまで必要性があるのかは大いに疑問である。

すでにコロナはかなり弱毒化しており、例えば直接患者を現場で診療している医師の中からも「インフルエンザよりも軽い」(浜松医療センター感染症管理特別顧問 矢野邦夫医師 「デイリー新潮」)といった声が出ている状態である。

アメリカ疾病予防管理センター(CDC)のワレンスキー所長も、コロナで死亡している患者の3/4以上の圧倒的多数が4つ以上の併存疾患を抱えていたこと、またオミクロン株での死亡率はデルタ株での死亡率よりも91%低いことを認めている。

一部の高齢者、基礎疾患を抱えている人に対して、その重症化を防ぐためにワクチン接種を求めるというのであれば、まだその合理性を理解できなくもないが、国民一律にワクチンの接種義務を課して、義務を果たさなければ外食もできなければ旅行もできないといった処置を取ることを正当化するのは、どう考えても無理があるだろう。医療関係者はワクチン接種しなければ職を失うことになるが、ただでさえ医療関係者が不足している中で、この処置を取ることにどれほどのプラスの意味があるのだろうか。

勘違いしている人もいるようだが、「フリーダム・コンボイ」の運動はワクチン接種「義務化」に反対しているだけであって、ワクチンそのものを否定しているわけではない。打ちたくなければ打たなくていいのではないか、打つか打たないかは個人の自由にすべきではないかというのがその考えである。

もちろんこの運動の中には「ワクチン絶対反対派」も入っているし、さらには「新型コロナウイルス不存在」派も入っている。過激な行動をする人たちもおり、中にはナチスの旗を翻していたような人もなぜかいた。だが、そうした一部を見て全体もそうだと決めつけるのは適当ではないのは言うまでもないだろう。国境封鎖のような過激な動きを抑制することは当然とも言えるが、それがこの運動の根本であるかのように主張するのは適当ではない。

この運動を潰すために政権側がこうした「過激分子」をこの運動に意図的に潜り込ませていることだってありうるわけだ。こうした疑いがないと言うのであれば、一部の過激な行動にはしっかりとした対処をするとしても、他方で運動が平和的である限りは積極的に擁護する姿勢を示すというのが、民主国家のあるべき姿である。

ところがトルドー政権は一部の過激な動きをあたかも全体的な動きであるかのように扱っい、「緊急事態法」の適用に踏み切ったわけだ。

この「緊急事態法」の適用によって、デモに関わった人物の自動車保険を停止できることになった。これはこの運動に参加するトラックドライバーたちの生活を脅かすものである。また、銀行は裁判所の命令なしにデモに関連する人物の個人の口座を凍結できるようにもなった。これは「フリーダム・コンボイ」がテロリストの団体であるかのようにみなすことで、政府の方針に異論を向ける人たちを弾圧する処置である。

「緊急事態法」は「カナダ国民の生命、健康、安全を著しく危険にさらす」「緊急かつ危機的状況」においてのみ適用できるものだとされているが、「フリーダム・コンボイ」のような合法的に行える抗議活動に適用するのは明らかにおかしいだろう。カールトン大学の国際関係学のリア・ウェスト教授は、「大部分が非暴力的な抗議活動によってカナダの安全保障が脅かされていると、本当に言えるだろうか」「この定義を満たしているとの判断に深刻な疑問を持っている」「明らかに、私たちの主権と領土保全は危険にさらされてはいない」と述べている。その通りではないか。

トルドー首相はあの暴力的で破壊的なBLM運動にも賛意を示してデモにも参加したこともある。BLMならよいが、「フリーダム・コンボイ」はダメだというのは、自分がシンパシーを感じるかどうかでダブルスタンダードになっているとは言えないか。

2020年にインドで2億人規模の農民たちによる「新農業法」への激しい抗議行動が発生した際に、トルドー首相は「対話」の必要性を説き、こうした抗議行動を行う国民の「権利」を強く訴えて、これを強権的に鎮圧しようとするインド政府を非難していたはずだ。今回のトルドー首相の姿勢はこの時の姿勢とは真逆であるというのは何という皮肉だろうか。

イデオロギーに左右されずに、公序良俗に反せず過激でない限りにおいて、あらゆる表現の自由を認めるというのがあるべき姿ではないのか。「イデオロギーを傍らに置く」という基本姿勢の大切さを、我々は再確認すべきである。
 
 
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BBCの記事
https://www.bbc.com/japanese/60384010
トルドー首相の画像
https://static.chunichi.co.jp/image/article/size1/0/d/0/c/0d0c4008edcbf2d81279fcab63ac31f1_1.jpg
BLMのデモに参加するトルドー首相の画像
https://img.huffingtonpost.com/asset/5edadf8d3000006427157661.jpeg?cache=Ro3re0MHwd&ops=scalefit_630_noupscale

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