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破綻の縁に追い込まれたキューバ経済! 政権側は体制の危機を認識!(朝香 豊)


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反政府デモがキューバで突然起こったことに驚いた人は多いのではないか。

キューバ政府はコロナ禍で苦しんでいるタイミングで内政干渉してきたとアメリカを批判しているが、これに騙されるキューバ国民は多くはないだろう。キューバには建国以来最大の経済的危機が訪れており、これが今回のデモ活動の直接のきっかけになっているからだ。

現在のキューバの苦境には多くの要因が重なっている。

1つ目はトランプ政権のキューバ政策の影響が非常に強く効いていることだ。政権末期にトランプはキューバ系アメリカ人がキューバに送金することを禁じた。これは年間35億ドル程度であり、さほど大きな金額ではないようにも見えるが、慢性的に輸出よりも輸入が多いキューバにとって、この外貨は非常に貴重なものであった。

2つ目はコロナ感染の拡大による観光収入の激減である。年間32億ドル程度が失われたと見られている。これはアメリカからの送金と並ぶ貴重な外貨獲得手段であったがために、こちらも並んで枯渇したことの痛手は非常に大きい。

3つ目はベネズエラの経済崩壊だ。ベネズエラの経済崩壊はベネズエラの石油生産まで狂わせている。ベネズエラが社会主義国だったことから、同じ社会主義国であるキューバには安価に石油が入ってきていたのだが、これが半減した。

これらの結果として外貨が枯渇し、食料品の輸入すら十分にできなくなってきているのである。ちなみにキューバは食料品の7割を輸入に頼っている。十分な化石燃料の輸入ができなくなり、電力不足も慢性化した。今や停電が当たり前なのである。医療用品も不足している。手術をしようにも麻酔薬どころか痛み止めの薬もないと言われている。

慢性的な物不足は商品の売り惜しみを招き、悪性のインフレが広がる中で国民生活は塗炭の苦しみを迎えている。インフレ率は500%に達している。中国のワクチンが効かないために、コロナ感染が拡大し、死者も急増している。この生活の過酷さは1990年代にソ連という後ろ盾を失った時よりも大きいのではないかという声もある。

個人の自由を抑圧し、その結果経済的発展も阻害され、貧しさにあえぐという負の循環を続けてきた。キューバは今体制危機に陥っている。キューバのディアス=カネル大統領はこれを強く認識し、「われわれにはあらゆる手段を尽くす意思があり、街頭で戦うことになるだろう」「彼らが革命に挑みたいのであれば、われわれの屍の上を歩かなければならないだろう」と述べ、徹底抗戦する意志を表明した。

キューバ政府はインターネットを規制することで、キューバ国民が情報共有できないように動いている。これは反体制派の動きを封じるのにかなり大きな効果を発揮するのは間違いない。それでも仮にキューバの政権が転覆するような事態にまで進展するとすれば、それは中国にとって最大の脅威となるだろう。
  
 
 
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