安全保障

日本のジャーナリズムが「国家の宣伝要員になりつつある」んだって! またまた迷惑な鳩山由紀夫!(朝香 豊)


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元総理の鳩山由紀夫氏は、歴史学者の保坂正康氏と半藤一利氏が対談で「戦前、新聞社の幹部が軍部に酒を飲まされ親密な関係となり批判できずに戦争を止められなかった。安倍政権以降ジャーナリズムがまた国家の宣伝要員になりつつある。メディアを鵜呑みにすると、国家にうまく利用されてしまう。私たちは知恵を持たなければいけない。」と語っていたとツイートした。

リベラル派を代表する歴史学者の2人の考えを知る立場からすれば、彼らがこういう話をしているのは前々から知ってはいた。だから鳩山氏が彼らの言葉を引用することにも違和感はない。

だからと言って鳩山氏のこのツイートを見過ごすわけにはいかない。

第一に指摘したいのは、鳩山氏、保坂氏、半藤氏は戦前を客観的に見ているとはとても思えないところだ。

戦後の日本は戦前の日本の全否定の上に成り立ってきた。学校教育を通じて私たちは戦前の日本が単なる悪の帝国であったかのように思い込まされてきた。だが、そうした全否定が適切なものではないことが様々に明らかにされてきた。

わかりやすい例がいわゆる日本軍による「従軍慰安婦」の「強制連行」の話である。この話は戦前の日本を悪く言うことが「正義」とされた時代に作られたフィクションであったことは今や明らかになっている。あの朝日新聞がこの件で謝罪に追い込まれたことを忘れるべきではない。

戦前の日本を悪く言い立てられれば事実であろうがなかろうが構わないという姿勢に対して反省が迫られる時代になってきた。だが主流派メディアがこの問題について正面切った反省をしているとは私には到底思えない。朝日新聞の謝罪すら十分には報道しなかったし、朝日の記事に乗っかる形で自らが「従軍慰安婦」の「強制連行」の報道をしてきたことへの反省を示すことはなかった。こうした歴史の歪みを彼らが問題にすることがないというのは、あまりにアンフェアではないのか。

第二に指摘したいのは、安倍政権以降ジャーナリズムが国家の宣伝要員になりつつあるとの指摘があまりにも現実離れしているところだ。安倍政権で長らく問題にされたのは、「モリ」「カケ」「サクラ」という「政権スキャンダル」であった。「サクラ」については幾分の落ち度は安倍総理にもあったといえるだろうが、それでも大騒ぎするようなものではなかっただろう。「モリ」「カケ」に至っては火のないところに煙を立てられたようなデッチ上げ事件でしかなかった。こうした理不尽な安倍政権批判を野党と一緒になって延々と行ってきたのが日本の主流派メディアであった。この日本のジャーナリズム状況について、「国家の宣伝要員」との判断はあまりに現実離れしている。

安倍総理は世界の西側外交の中心となる大活躍をし、安倍総理が提唱した「自由で開かれたインド太平洋構想」はアメリカ外交をも転換させた。そんな客観的に評価できる成果さえ、日本の主流派メディアは完全に無視し続けた。これが日本のジャーナリズムの実際である。とても「国家の宣伝要員」などではない。

こうした主流派メディアに対抗する言論を、在野勢力がインターネットを通じて広めているのが現実である。こうした在野勢力がかなりの力を持つようになったとはいえ、「ジャーナリズム」と呼べるほどのものではないだろう。

第三に指摘したいのは、メディアが「国家の宣伝要員」であり、「メディアを鵜呑みにすると、国家にうまく利用されてしまう」ということから真っ先に浮かぶのは中国なのに、鳩山氏は中国の主張に対して批判を向けることがない点である。

中国は従来からそのような状態であったのに、昨今は習近平体制のもとでその情報統制を格段に強めている。この危険な動きに対して全く声を上げないで「日中友好」ばかりを唱えているのはどういうことか。鳩山氏は中国メディアを鵜呑みにすると、中国にうまく利用されてしまうとは全く考えていないようである。

現在の国際環境の中で日本が軍事力に打って出て中国を侵略しにいくなどということが考えられるだろうか。中国は東シナ海を軍事拠点化し、インド・ブータン・台湾などの周辺国への拡張姿勢を強めている。特に台湾に対しては軍事制圧も辞さない姿勢を見せて脅しをかけている。この中国の膨張姿勢をいかに抑制するかが東アジアの安全保障において決定的に重要なのだ。

安倍元総理はこの点で日本の政治家の誰よりも踏み込んだ言論を行っている。このような言論を牽制するような発信は、中国の台湾侵略を行わせようとしていると受け取られても仕方ないだろう。

鳩山氏は中国を問題視しないどころか、西安交通大学名誉教授や、中国主導のアジアインフラ投資銀行の国際諮問委員会委員にも就任している。ここにも鳩山氏のスタンスが明確に表れていると言えるだろう。

さて鳩山氏は2009年の総選挙に際しては「総理大臣まで極めた人がその後、影響力を行使することが政治の混乱を招いている。総理大臣を経験した者は政界に影響力を残すべきでない」と述べていたが、その後この言葉を撤回している。

総理から身を引いて10年以上、政界引退からもほぼ10年になるのだから、そろそろ政界に影響力を与えるような情報発信を控えてはいかがだろうか。思いつきの発信で日本と世界に混乱をもたらすことはもうやめにしてもらいたいものである。

 
 
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鳩山由紀夫氏のツイッター
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