道理

衝撃的な噂は本当なのか? 疑う必要は大!(朝香 豊)


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2007年に米韓自由貿易協定が締結された時に、韓国ではこの協定に反対する極端な主張が様々に展開された。強いアメリカによって韓国は完全に草刈り場にされる、国の政策の自由度が完全に失われる、牛海綿状脳症(BSE)に罹った牛肉が輸入されて韓国中にBSEが蔓延するといった話だ。

ところが実際に米韓自由貿易協定が発効すると、韓国の対米輸出は大幅に伸び、トランプ大統領が米韓自由貿易協定は一方的にアメリカに不利な内容となっているので改訂が必要だと訴えるほどだった。そしてトランプ政権の2019年に実際同協定は改定された。韓国でBSEが発生したという話は全く出てこなかった。

同様の話は機会があるたびに何度も飛び出してきた。例えば、終末高高度防衛ミサイル(THAAD)が韓国に配備された際には「レーダーの電磁波のせいでがんにかかり、農作物が全滅する」といった話が飛び出した。「電磁波でわたしの体が揚げ物になる」といった歌さえ広がった。ところが実際に配備されると、THAADの電磁波が人体に与える影響は携帯よりも弱いものにすぎなかった。

朴槿恵(パク・クネ)大統領時代に、大統領へのアドバイザー的な役割を担った崔順実(チェ・スンシル)氏が激しく叩かれた。大統領の演説草稿の指南程度であればよかったのだろうが、政府人事をどうするかなどにも一民間人にすぎない崔順実氏が関与していたり、外交文書まで手渡されていたことが明らかになり、朴槿恵大統領が謝罪に追い込まれ、最終的には逮捕・投獄されたことを記憶している人も多いだろう。

あの崔順実氏について隠し財産が300兆ウォン(30兆円)に達するとの話も流れた。これが事実とすれば、ビル・ゲイツの持つ総資産をはるかに超える隠し財産を崔順実氏が持っていたことになるわけだが、実際にはそんなものは一切出てきていない。

2014年にセウォル号が沈没した事件では、朴槿恵大統領の「空白の7時間」が問題になったが、大統領は元補佐官の鄭潤会(チョン・ユネ)氏と密会していたとか、青瓦台(韓国大統領府)に四方が鏡張りの部屋があるといった話まで飛び出していた。

それどころか、「朴槿恵政権がわざと沈没させた後、航跡データを改ざんした」といった話まで、まるで真実であるかのように韓国内では語られていた。

韓国の哨戒艦の「天安」が北朝鮮軍の魚雷によって撃沈された事件では、「内部爆発で沈没した」とか「米原子力潜水艦と衝突した」とかが真相だと語られた。

衝撃的な噂が飛び交った時に、人は容易に騙されやすいものだ。飛び交っている噂が本当かどうかは簡単に見分けることはできないが、「それは本当なのか?」と疑ってみることも必要ではないか。

さらに言えば、これらは左派勢力がいかにも持ち出しやすい内容であるという共通項を持つことにも目を向けたい。

米韓の経済的関係強化を望まない立場から米韓自由貿易協定に対する反対論が出てきた。THAAD配備で困るのは北朝鮮と中国であった。朴槿恵は保守・親米派であり、常にこの追い落としを左派勢力は狙っていた。「天安」を撃沈したのは北朝鮮軍の魚雷だったという事実を、左派はどうしても隠蔽したいと願っただろう。

こうした話は決して韓国だけで起こっているわけではない。日本でも同じようなことが当然起こっている。この点の警戒心を我々はもっと高める必要があると私は思う。
  
 
 
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