政府は「第6次エネルギー基本計画」(案)を発表した。
内容以前にこの案が非常に不愉快なのは、やたらと外来語やその略号が多いことである。アグリゲーションビジネス、マイクログリッド、ディマンドレスポンス、ノンファーム型接続、エネルギートランジション、CCUS、DACCS、BECCSなどだ。これが普通の日本人向けに書かれたものだとはとても思えない。まずはこの点に苦言を呈しておきたい。
その問題はさておいて、中身の話に移ることにする。この計画案の中で政府は、2030年度に46%の二酸化炭素排出量を削減するだけでなく、50%削減を目指してさらに挑戦する姿勢まで示した。こうなると46%は必達の数字で、これを下回ることは許されないような形だ。だが、そんな現実離れしたことを謳ってしまって本当に大丈夫なのか。
計画案は脱炭素において日本が国際的なルール形成を主導するとしながら、そもそも欧米が敷いたレールに乗っかって削減目標を提出し、それをどう達成するかを議論している。こんなことを書いていて、恥ずかしくはないのだろうか。
原子力については福島原発事故の反省に基づいて安全性を最優先だとし、積極的な位置付けは与えられていない。その上で、再生可能エネルギーと水素をエネルギーの二本柱として、可能な限り原発依存度を低減することを謳っている。原子力を積極活用せずに2030年度に46%ないし50%の二酸化炭素の削減を実現することなど、絵に描いた餅にしかならないだろう。
計画案は「安定的で安価なエネルギーの供給確保は重要」としつつも、「再エネについては、主力電源として最優先の原則のもとで最大限の導入」に取り組むと述べている。これは完全なる矛盾ではないか。再エネは安定的でも安価でもないエネルギー源であり、だからこそ各種補助金を大量投入しないと導入が進まないものだったのではないか。再エネが安定的で安価であるなら、市場原理に任せているだけで自然と再エネへのエネルギーの転換は進んでいく。いい加減なことを書くのは謹んでもらいたい。
各地域に多数の多様な小規模発電施設(太陽光、風力、燃料電池、小型水力など)を設置し、大規模な蓄電池も利用しながら、電力の地産地消を目指すマイクログリッド構想を、計画案は推進している。
だが、マイクログリッドは言われているほど有効なものではない。そもそも狭い地域になればなるほど、そこに住む人たちの行動パターンは類似し、必要となる電力の急上昇や急低下を招きやすい。となればなおさら、これらの電力源として太陽光や風力といった出力調整できないエネルギー源に頼ること自体がナンセンスになる。この矛盾を蓄電池で補おうとすると、必要となる蓄電池の量は半端なく大きなものにならざるをえない。そして蓄電池はコストが高い上に耐久性も低い。充放電を繰り返すごとにどんどん劣化していかざるをえない蓄電池を、貯水タンクと同じようなイメージで捉えることはできないのだ。どう見てもコスト的に割に合わない。そして高コストであるということは、実は膨大なエネルギーを必要とすることをも意味する。本末転倒のエネルギー浪費型の社会設計を考えていることになる。
このように計画案に描かれている将来像は、確たる技術的根拠があるものではなく、机上の空論の組み合わせによって描かれているものにすぎない。
現在、このエネルギー基本計画案について、政府はパブリックコメントを求めている。リンク先を付けておくので、ぜひ積極的に声を寄せてもらいたい。
パブリックコメント募集のリンクを開くと出てくる「意見公募要領」と「意見様式」のリンクをさらに開かないと「意見募集要領(提出先を含む)を確認しました」のところにチェックが入れられない。「意見募集要領(提出先を含む)を確認しました」のチェックが入ることで、初めて「意見入力へ」のリンクが飛ぶようになる。非常に面倒なのだが、ぜひ協力してもらいたい。
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エネルギー基本計画案の概要
https://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/opinion/data/02.pdf
エネルギー基本計画案
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000224615
2030年再生可能エネルギーの画像
https://kyodonewsprwire.jp/prwfile/release/M104362/202101159832/_prw_PI1lg_F9mM3p0O.jpg
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