北朝鮮が弾道ミサイルばかりでなく、巡航ミサイルの開発を行い、早速日本海に向けて発射実験を行った。こうした中で日本の安全保障にはリアルな方向性がますます切実に求められるようになった。日本が整備してきたミサイル防衛システムは弾道ミサイルしか対応できず、巡航ミサイルには対応できないからだ。
こうした環境下で戦われている自民党の総裁選挙であるが、未だに現実離れした国防論議を行う候補者もいる。
目下総裁選挙の最有力候補と目されている河野太郎氏は、「軍事力で戦う以前にサイバー戦や情報戦、経済的なことを含め、そういう時代になっている。敵基地攻撃能力ではなく、抑止をどうするか、それ以前にもっと現実的な課題として、今申し上げたようなことをやっていかなければならないと思っています」と答えた。
河野氏の認識では、敵基地攻撃能力は抑止と結びつかないことらしい。サイバー戦、情報戦、経済戦も重要なのは私も大いに賛同するが、敵基地攻撃能力も同様に持てばいいだけではないか。なぜ、二者択一的に捉える思考に陥るのか、全く理解できない。
河野氏も自らの矛盾した言動には恐らく気付いているとは思う。それでも「タカ派」と見られることが親中派の反発を招き、自らの支持を引き下げることにつながりかねないことを警戒しているということなのだろう。そうしたことで国防の議論を非現実な方向に後退させてもいいと考えるような人間を、総理・総裁に担ぐわけにはいかない。
これに対して対抗馬の岸田文雄氏は、敵基地攻撃能力の保有も検討する姿勢を示している。この点では一応の評価はできる。だが、兵器の進化状況を考えれば、もう少し深いところまで突っ込んで考えるべきではないか。
もう一人の対抗馬である高市早苗氏は、先に相手国の基地を実質的に無力化した国が勝利するという現実から目を逸らさない議論を展開している。そしてこの敵基地攻撃の中で特に高市氏が法整備が必要だとしているのがサイバー攻撃の能力である。先制的なサイバー攻撃能力を含めた敵基地攻撃能力の整備が必要だということを、高市氏は率直に語っているのである。このような高市氏の正直さと比べた場合に、河野氏の主張の欺瞞さは明瞭であろう。
こうした高市氏の姿勢を「危険」「右翼」となじる方々に尋ねたいのは、中国も北朝鮮も初めから敵基地攻撃能力を保有しているという事実をどう考えるのかということだ。両国は核兵器も持ち、先制攻撃もでき、敵基地攻撃能力どころか、敵地全てに対して無差別に攻撃する能力も持っているのである。なぜ日本が中国や北朝鮮に対して明らかに軍事的に劣る状態にし、さらにその手足を縛らないと危険であるのかについて、きちんとした説明をしてもらいたいものだ。
当然の話だが、敵基地攻撃能力を持ったからといって、実際に敵基地攻撃を行うかどうかは全く別の話である。日本に対して舐めた行動を起こさせないためにも、国防のために敵基地攻撃の保有を正面から据えるべきである。
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高市早苗氏の画像
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