トランプ政権のクドロー国家経済会議委員長は、新型コロナウイルス対策となる大型景気刺激策に関して、「経済対策は国内総生産(GDP)の10%程度になる」と述べ、2兆ドルにするとの意向を明らかにした。
連邦政府による財政支出が1.3~1.4兆ドルで、FRBなどの追加支援を加えて2兆ドルに積み増す方針だ。
野党・民主党との協議を急ぎ、週明けの採決を目指すという。
この規模は、2008年のリーマン・ショック時のざっと3倍で、アメリカ政府がいかに今回の景気減速に危機感を持っているかを示している。
そして何としてでもこの景気減速を止めてみせるという強い決意を感じる。
日本では財務大臣が、消費税の減税も現金給付も考えていないと公言しているが、アメリカとの違いの大きさは明らかだ。
我が国は昨年10月に消費税の増税を実行して、経済状況の悪化ぶりはアメリカの比ではないのに、この新型コロナウイルスのショックがさらに上積みされても、積極的に動く気配があまりない。
日本国民や日本企業をこの危機の中で救い出さなければならないという意識が、日本政府、特に財務省には圧倒的に薄いと言わざるをえない。
このショックの煽りを受けて甚大な影響の出ている実店舗や企業をどう支えるのかを、なぜ真剣に考えないのだろうか。
経済が死ぬと国民が死ぬが、こういう発想を財務省は全く持っていないようだ。
日本はまた、国内のことだけでなく、海外の新興国、発展途上国のことも考えなければならない立場にあるが、この視点も日本政府は持っていないだろう。
現在マネーの世界では、実物経済の縮小の危機感から、投資資金を現金化して一斉に引き上げる動きが広がっている。
それが急激なドル高の背景となっているが、それは新興国・発展途上国からマネーが吸い上げられていることを意味する。
経済体力の弱いこうした国々が、こうしたマネーの吸い上げによって受ける影響は極めて甚大だ。
先進国の比ではない。
経済体力においては余力のある先進国がこの危機に積極対応を行い、新興国・発展途上国からの輸出を支えてやらないと、こうした国々の危機はさらに甚大になる。
実はこれと同じことが1997年のアジア通貨危機のときにも起きていた。
1997年に日本が消費税増税に踏み切り、日本の経済成長を止めたことによって、アジア通貨危機を深刻化させたのだ。
こうした経験を踏まえて、今回はしっかりと大型財政出動を行って、新興国・発展途上国を支えるような経済政策を打ち、その立場を国際的にもきちんとアピールすることは、今後のこうした国々との経済的な関係を深めるという点からも重要なのである。
日本国民や日本企業を救い、新興国・発展途上国との関係を深めていく見地から、安倍政権は大胆な経済政策を打つ決断をしっかりと行うべきだ。
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