イギリス統治時代の最後の香港総督で、オックスフォード大学の学長でもあるクリス・パッテン氏が、中国に対して猛烈な怒りを表している。
中国が香港に対して「国家安全法」を押し付けるのは、香港人に対する裏切りであり、イギリスには彼らのために立ち上がる道徳的、経済的、法的な義務があるとし、イギリス以外の西側諸国も経済的利益を求めて中国にかしずくのをやめるべきだと主張した。
今回中国が押し付けようとしている「国家安全法」は、中国政府に対する「反逆、分離、扇動、転覆」を禁止するというものである。
これらは表面的には確かに国家の独立のためには必要なものではある。
だが、「国家反逆」を禁じることでウイグル人に対する弾圧のようなことを香港人にも押し付けられるようになり、「国家分離」を禁じることで香港が独立・自立を求めることも禁じられ、「国家転覆」を禁じることで政府批判ができなくなる。「扇動」を禁じることで中国共産党に対する否定的な行動は、個人も私企業も行えなくなる。外国メディアが中国政府にとって都合の悪い情報を集めて報道することも「扇動」にあたり、さらに国家機密摂取だとも言われることになる。
つまり、こんなものが認められたら、香港は中国本土と別の制度を持つ地域ではなくなってしまうわけだ。
そもそも香港の人たちは逃亡犯条例に反対して大規模デモを展開した。
中国政府にとって都合の悪い人物を捕まえて、中国本土に引き渡し、香港とは違う警察・裁判制度を持つ中国本土で裁くというのでは、「一国二制度」は完全に骨抜きになるというのが、香港人の考えだった。
だが、この「国家安全法」は中国本土に連行されるどころか、香港が完全に中国共産党のコントロール下に入ることを意味する。
「国家安全法」は香港市民が大反対して潰れることになった逃亡犯条例よりも遥かに悪質なものなのである。
香港の自由と自治は、これによって完全に失われる。
つまり、英中共同宣言により、香港返還時に約束された「一国二制度」は完全に否定されることになる。
パッテン元総統が激怒するのは当然だろう。
パッテン元総統とイギリスのリフキンド元外相はこの件で中国政府に対する抗議書を作成し、すでに23カ国から191人の政治家の賛同を集めている。
北京政府が一方的に国家安全法を香港に押し付けることを非難し、英中共同宣言の露骨に無視する行動に出ていることに対して、心を痛める世界中の政府が一丸となることを求めるものだ。
だが、悲しいことに、この抗議書に対する賛同者の中に、日本の政治家の名前が一人もいない。
知り合いの国会議員がいるならば、イギリス大使館に連絡を取り、ぜひともこの賛同者に名前を連ねるように要請してもらいたい。
日本政府がこの件について、中国政府に抗議する動きを事実上何も見せていないのは、日本人として恥ずかしい限りだ。
また、トランプ大統領に香港を救うために動いてほしいと求めるホワイトハウスへの請願も始まっている。
こちらにも私たちは参加しようではないか。
パソコンの場合は、以下のリンク先のページを開くと、右側に「名」「姓」「メルアド」を記す欄がある。
https://petitions.whitehouse.gov/petition/one-hongkonger-one-letter-save-hong-kong-trumpsaveshk
ホワイトハウスが今後情報提供していいかを尋ねるチェックマークがあるので、不要ならそのチェックマークを外す。
“Sign Now”をクリックする。
そうすると、”Email Verification Required”(メールでの確認作業が必要)という画面が現れる。
メールを開くと”Action Needed: Verify your signature”という題名のメールが到着している。
そのメールを開くと、メールの中段に “Confirm your signature by clicking here.”(ここをクリックすると、署名が成立)という部分がやや目立つようになっている。
ここをクリックすると、署名がうまくいったことを示す画面が現れる。
ぜひご協力いただきたい。
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ネタ元のガーディアンの記事
https://www.theguardian.com/world/2020/may/23/chris-patten-chinas-security-laws-a-betrayal-of-hong-kong-people
ネタ元の香港フリープレスの記事
https://hongkongfp.com/2020/05/24/in-full-191-parliamentarians-and-policymakers-from-23-countries-slam-beijing-for-assault-on-hong-kong-freedoms-and-rule-of-law/
画像はウィキメディアから
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/5/5d/Chris_Patten_20161128.jpg
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