トランプ政権が米議会に対して、「中華人民共和国に対する合衆国の戦略的アプローチ」と題するレポートを提出した。
このレポートによって、トランプ政権の対中国政策はこれまで以上に明確化し、具体的なものとなった。
このレポートは、新型コロナウイルスのパンデミックが起きる前に準備されたものだったが、この大騒ぎで議会提出が遅れたもののようだ。
だが、この間に中国の本質を嫌というほど見せつけられることになった結果として、中国に対して融和的なアプローチの方がいいのではと思っていた人たちが、次々と考え方を変え、今やアメリカの対中国政策は一枚岩のようにまとまった。
過去40年にわたって、アメリカの対中国政策は、中国への関わりを大切にして援助を行っていくことで、経済的にも政治的にも開かれた国になるという想定に基づいていた。
1月の段階では、米中貿易交渉のディール成立後の「フェイズ1」の成果を確保するために、中国との良好な関係に優先を置くべきではないかとの考えが政権内にもあった。
財務省も、連邦政府職員の退職金の運用先に中国企業の割合をあまり増やすなという政権側の求めに対して、数カ月にわたって抵抗を続けてきた。
中国のIT巨大企業のファーウェイを国際的な半導体の供給網から切り離そうという動きに対する抵抗は、政府部内でも強かった。
だが、今回のコロナ騒ぎとそれに対する中国の態度を見て、こうした中国政府に融和的な立場はすべて消え、中国政府を追い詰めていく戦略で米政府内はまとまった。
天安門事件から30年が過ぎたが、中国共産党の独裁色はさらに強化された。
そして、中国は現在の世界の開かれた自由な制度を利用しながら、あくどいやり方で影響力を拡大させ、国際体制を自分に都合のいいものへと変えようとしている。
経済力、政治力、軍事力を使って、中国は民主国家が中国に対して声を上げられないようにしており、これは世界各国の主権と個人の尊厳を傷つけ、アメリカの重要な利益を傷つけているのだ。
中国が思想面や政治面で自由主義国家に対して抱いている敵意を、アメリカは大いに過小評価してきた。
アメリカと中国の関係を断ち切る「デカップリング」という言葉は今や当たり前になり、アメリカの中国と戦う姿勢は鮮明になった。
日本政府も日本企業も、このアメリカとの関わりにおいて中国との関係を考えていかなければならない。
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ネタ元のワシントン・ポストの記事
https://www.washingtonpost.com/opinions/global-opinions/covid-19-has-brought-trumps-warring-china-factions-together/2020/05/21/4df38fee-9b9f-11ea-ac72-3841fcc9b35f_story.html
ネタ元のホワイトハウスのレポート
https://www.whitehouse.gov/wp-content/uploads/2020/05/U.S.-Strategic-Approach-to-The-Peoples-Republic-of-China-Report-5.20.20.pdf
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