外交

コロナ騒動の中でも、ベネズエラに揺さぶりをかけるアメリカ! (朝香 豊)


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3月26日に、アメリカ政府はベネズエラのマドゥロ大統領を麻薬密輸などの罪で起訴した。

バー米司法長官は、マドゥロ政権がコロンビア革命軍に、ベネズエラ国内でコカインを生産することを許可し、コロンビア革命軍と共謀して、アメリカ国内に大量のコカインを流入させたと主張した。

マドゥロ大統領は麻薬密売組織「太陽のカルテル」の首領であるとし、身柄拘束につながる情報には最大で1500万ドル(約16億円)の報償金を支払うとの方針も、米当局は明らかにし、マドゥロ大統領の側近ら14人も起訴した。

このようにベネズエラに対する強硬姿勢を高める姿勢を見せていたアメリカだが、3月31日になると、手のひらを返したような柔らかい姿勢も見せる。

ベネズエラの与野党双方の陣営が加わった選挙管理委員会を設立し、公正な選挙が実現できるなら、ベネズエラに対する制裁を解除するとの提案を行ったのだ。

マドゥロ大統領とグアイド暫定大統領(国会議長)の両者が身を引くことが前提だとし、一見喧嘩両成敗的に見える態度を示した。

マドゥロ大統領側は、当然ながらこの提案を拒否した。

厳格に公正な選挙が行われたら、マドゥロ大統領側は勝てる見込みはないからだ。

アメリカは恐らくこのような提案が拒否されることがわかっていながら、敢えて提案を行ったのだろう。

これは、ベネズエラ側が合理的な方針で動けば、アメリカが制裁を解除する姿勢を示すことで、マドゥロ大統領のあり方に反対する勢力を、ベネズエラ国内で強化する意図によるものだと思われる。

また、このような提案を行うことで、アメリカは制裁を解除する気が十分あるのに、マドゥロ大統領側のエゴで実現できないのだという印象を与えることができる。

新型コロナ対応に忙しくなる中では、ベネズエラ対応は後回しになりがちだと思われるが、こうした対応をきっちり示すところは、さすがトランプ政権だ。

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