カザフスタンの混乱について、現時点でわかることをまとめてみた。
まずカザフスタンは中央アジア諸国の中ではかなりの大国である。旧ソ連ではロシアに次ぐ国土面積で、日本の約7倍ある。石油・天然ガスなどの鉱物資源が国の産業の中心に位置し、一人当たりGDPは9000ドル程度で、それなりの豊さを享受している国である。
旧ソ連の一員という歴史的背景もあってロシアとの関係が大変強いが、近年は経済力をつけてきた中国との関係も強まっている。2013年に中国は「一帯一路」構想を発表したが、この「一帯一路」構想を発表したのはこのカザフスタンの地であったことも覚えておきたい。
ソ連末期の1990年からナザルバエフが同国の独裁者として君臨してきた。2019年にトカエフが新大統領に就任したが、軍を掌握する安全保障会議議長としてはナザルバエフが引き続き残留する形であるだけでなく、「終身議長」であるとされてきた。つまりトカエフが表に出ているとしても、ナザルバエフは相変わらず実質的な権力者としての地位を保持していた。
今回のデモは燃料価格が自由化されたことがきっかけだとされる。国内価格を統制してきた結果として国際価格との乖離が大きく、2倍程度になっていた。国内企業は生産した天然ガスなどを闇市場を通して輸出に回し、国内向けの供給を絞ってきた。このため国内では天然ガスの供給が不足状態にあったが、これを解消するために価格自由化に踏み切った。この結果として価格はこれまでの2倍になった。カザフスタンでは自動車用の燃料としてはLPG(天然ガス)が圧倒的に使われており、今回の大幅値上げが庶民の怒りを買うことになった。
デモの激化に慌てた政府は天然ガス価格を従来通りに戻すどころか、従来価格よりも低いところまで引き下げることを決定したが、これによってデモが沈静化することにはならなかった。というのは、国民の怒りはナザルバエフの長期独裁に向けられていたからだ。しかもナザルバエフは政治権力を掌握していただけでなく、同国の経済的な権力も握っていた。
今回トカエフ大統領がナザルバエフ前大統領の安全保障会議議長からの解任を迅速に決めた背景には、国民の同氏に対する激しい怒りがデモの背景にあることを理解していたからだろう。身の危険を感じたナザルバエフは国外に逃亡した。
またカザフスタンでも中国脅威論が高まっていた。2016年に外国人の土地売買の規制を大幅に緩和する土地法改正が持ち上がった際には、激しい抗議活動を前に政府は断念した経緯がある。
カザフスタン政府は今回の事態に直面して、ロシア主導の軍事同盟の集団安全保障条約機構(CSTO)にデモ鎮圧に向けた支援を要請し、これに応じてロシア軍を主力とする2500名の部隊が到着し、体制維持に動いた。
カザフスタンが不安定化するとこの影響は周辺国に及ぶのは必至で、中国の一帯一路構想にも大きな影響を与えることになる。それゆえにロシアにせよ中国にせよ看過できない事になる。
地域安全保障の観点ではカザフスタン情勢というのは今後も見過ごせないものとなるだろう。
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BBCの記事
https://www.bbc.com/japanese/59904247
ロイターの記事
https://jp.reuters.com/article/kazakhstan-protests-government-idJPKBN2JF0M2
カザフスタン暴動の画像
https://cdn.mainichi.jp/vol1/2022/01/07/20220107k0000m030035000p/9.jpg?1
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