中国

「文革」が復活する中国! その一方で権力の分裂も進む!(朝香 豊)


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近年中国では習近平政権の下、「文化大革命」(文革)が事実上復活してきている。

文革とは「遅れた伝統文化や資本主義文化を破壊して、これに代わる社会主義文化を創造しよう」という運動で、考え方自体を問うものであった。

「誤った思想」に染まることがよくないとして、「問題」のある書籍が焚書処分にされた。

文革時の焚書

「造反有理(造反することには道理がある)」とか「革命無罪」(「革命的行動」である限り、罪に問われることはない)といったことが叫ばれ、上の立場に立つ者であっても「反革命」的な思想を持つ場合には密告することが奨励され、子供が教師や親を密告することさえ相次いだ。

「紅衛兵」と呼ばれる若者たちが古い文化財を「古い時代の遺物」として破壊し、地主・富豪・インテリを吊し上げて「自己批判」を強要した。

紅衛兵の横暴

紅衛兵たちはどんどん暴走し、紅衛兵のグループの間でお互いを「反革命だ!」と罵り合い、自分たちがより「革命的」であることを証明するために、行動をどんどんと過激化する流れが生まれた。

こうして暴走した紅衛兵たちの動きを止めるために、若者たちを分散して農村に送り込むことが行われた。

頭でっかちになった都市部の青年たちは、農村での肉体労働を通じて多くのことを学ばなければならないという理屈からだ。

これは正式には「上山下郷運動」と言われるものだが、「下放」と呼ばれることが多い。

下放で農村に送られた若者たち

この文化大革命によって170万人が亡くなったとか、2000万人が亡くなったとか言われている。

さて、習近平政権が進める「文革」には紅衛兵はいないが、焚書も密告制度も復活しており、下放も行われるようになっている。

これが今最も激しく展開されているのが、南モンゴル(内モンゴル自治区)だ。

南モンゴルではモンゴル語教育が大幅に制限され、これに対する反対運動が盛り上がっていることが注目されている。

モンゴル語教育縮小に反対する保護者たち

実はモンゴル語教育だけの問題ではなく、モンゴル文化の抹殺が広がっている。

チベットやウイグルでも行われたような、民族的要素の強い建造物なども取り壊しの対象になっている。

バスに書かれていたはずのモンゴル文字が消されるようになっている。

公安当局は、抗議デモに参加した者のうち129人について、顔写真・性別・身長・年代などを載せた「捜査協力要請」をSNSに投稿し、申告補償金1000元(15000円)で「情報提供」を奨励した。

ところで、文革というと、この9月から使用される中国の歴史教科書では、「共産党指導者たちによって誤って引き起こされ、反革命集団に利用された」、「国家と人民に深刻な災難をもたらした」、「いかなる意味においても、革命でもなければ社会的進歩でもない」といった厳しい記述が登場した。

つまり、習近平派が文革路線を推し進める中で、これに反発する反習近平派が教科書の記述でこれを否定する動きに出ていると言えるのだ。

こうした教科書の記述が出たのは、当然ながら中国の権力が分裂状態にあることを意味する。

相次ぐ粛清によって権力を固めたように見える習近平総書記ではあるが、反習近平派はまだ完全に敗れ去ったわけではない。

米中対立の激化と絡む形で進むこの中国国内の権力闘争の行方について、我々は今後の展開を追っていくべきだろう。
 
 

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