中国共産党中央規律検査委員会は中国共産党に対する裏切り者として知られる顧順章に関する話を掲載し、党員に向けて全ての裏切り者と戦うように呼びかけた。
ソ連でスパイの訓練を受けた顧順章は、表向きは手品師の顔を持ちながら、中国共産党の「特別行動科」で重職に就いていた。国民党軍に捕まった顧順章は共産党を裏切り、共産党の機密情報を国民党側に大量に提供した。その結果、上海などでの共産党の地下活動拠点がほぼ全滅となり、多くの共産党幹部が処刑された。周恩来も逮捕寸前まで行ったと言われている。これに対して周恩来は復讐に出て、顧順章の家族と親友30人あまりを暗殺したのである。
中国共産党がこの時期に顧順章の話題をわざわざ持ち出したのは、国家安全部副部長の董経緯の亡命が真実であることを物語っているように私には感じられる。
董経緯は中国の生物兵器計画などの軍事情報に加えて、アメリカにいる中国共産党のスパイの名簿、中共政府からの資金援助をうけたアメリカのビジネスマンや公務員の財務記録などの情報を数多くもたらしたとされる。アメリカにいる中国人留学生の1/3が人民解放軍の背景を持つという情報もあり、もたらした情報量は数テラバイトに及ぶとされる。(詳細は私が書いたWiLLオンラインの記事「新型コロナ「人工説」拡大の裏に中国高官の亡命?」を参考にしてもらいたい)
高官の亡命は破壊的影響力を持ちうる。例えば林彪の亡命未遂が中国共産党に与えた影響も甚大であった。
毛沢東の「最も親密な戦友」とされ、毛沢東の後継者として認定されていたはずの林彪だったが、林彪は本音では文化大革命を早く終わらせたいと思っていたようだ。面従腹背の林彪の追い落としを毛沢東は画策し、林彪はソ連への亡命を試みて謎の墜落死を迎えた。林彪のソ連への亡命は阻止されたものの、毛沢東が後継者として認定した林彪がなぜ亡命しようとするのかという動揺が中国国内に広がり、文化大革命を沈静化するターニングポイントになったとされる。
董経緯は習近平に引き立てられて国家安全部副部長にまで上り詰めた。ただでさえ中国共産党上層部の亡命が習近平に与える打撃は尋常ではないが、亡命者が董経緯だということになれば、その衝撃は計り知れない。董経緯の情報が次々と表に出ていく中で、中国共産党も習近平も追い詰められていくことになるのではないか。
歴史が動いていることを実感させられる。
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www.visiontimesjp.comの記事
https://www.visiontimesjp.com/?p=20620
顧順章の画像
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董経緯の画像
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毛沢東と林彪の画像
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