サウジアラビアのアブドルアジズ・エネルギー相は、世界の石油の減産規模は「歴史的合意」によって、実質的におよそ日量1950万バレルに達すると述べた。
だが、これはどう考えても無理があろうだろう。
サウジアラビアを中心とするOPEC(石油輸出国機構)に、ロシアなどのOPEC非加盟産油国の一部が参加している「OPECプラス」全体で970万バーレルを減産するとしているが、まずこの減産が守られるとはなかなか信じられない。
それはともかくとして、仮に「OPECプラス」全体で970万バーレルの減産が実現できたとしても、どうやって1950万バレルの減産ができるのだろうか。
これが実現するためには、「OPECプラス」以外で980万バレルの減産が行われなければならないが、そんなことはどう考えても無理だろう。
アメリカが石油生産を止めるならば達成は可能だが、アメリカは日量19.4万バレルの減産しか行わない見通しとなっている。
何としてでも石油価格を引き上げようと、サウジアラビアは必死なのだろうが、「1950万バレルの減産」が「絵に描いた餅」にすぎないのは、見透かされていると言わざるをえない。
この結果、原油価格(WTI)は1バレル=21ドル台で低迷を続けている。
そもそも、現在の原油のだぶつきは日量で3000万バレルほどになっていると推計されている。
つまり、産油国全体で3000万バレルの減産を行わないと供給過多が止まらないわけで、仮に1950万バレルの減産ができたとしても、まだまだ減産規模が足りないことになってしまうわけだ。
これは世界経済の減速レベルが想像を絶するほどに大きく、世界経済の規模が3割程度縮小していることを間接的に説明している。
新型コロナウイルスによる経済混乱は、人類が集団免疫を獲得するまで続くと思われるが、それが実現するまでにはどれほどの時間がかかるのだろうか。
世界恐慌と言えるだけの経済破壊がもたらされ、なかなか出口が見えない状態に陥っていることに、私達は気づくべきだと思う。
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ネタ元のロイターの記事
https://jp.reuters.com/article/global-oil-saudi-idJPKCN21V1H4
https://jp.reuters.com/article/usa-oil-productivity-idJPKCN21V2AT
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