英半導体大手の「イマジネーション・テクノロジーズ」を巡って、イギリスでは政界が揺れている。
同社の技術は、世界の携帯電話の3割、自動車の4割に採用されているとされる。
ただ、Appleが2017年4月にiPhone用のGPUの内製化を目指す意向を同社に示し、2年以内に同社のGPUの搭載を終了すると通達したことで、経営環境が激変した。
Apple向けの売上が全体の半分近くを占めていたことから、一気に経営危機に陥ったわけだ。
この機に乗じて動きを見せたのが中国で、2017年に中国国有の投資企業である「中国国新ホールディングス」が同社を買収した。
正確には、買収を行ったのはシリコンバレーに本拠地を置く「キャニオン・ブリッジ」の英子会社だが、「中国国新ホールディングス」が「キャニオン・ブリッジ」への資金の拠出元になっており、中国の影響力が圧倒的に高い。
そのため、この「キャニオン・ブリッジ」が米半導体大手の「ラティス・セミコンダクター」を買収しようとした際には、トランプ大統領が大統領権限で阻止していた。
イギリス政府はこの買収を最終的には認めたものの、中国側が経営への口出しをしないことが条件となっていた。
そのため、中国は買収後もおとなしい動きしか見せていなかった。
ところが今年(2020年)4月になって、突然に同社の緊急取締役会が招集されるとの話が出てきた。
中国側の要請に基づき、取締役会のメンバーを入れ替え、CEOのブラック氏に退任を求めるとしたのだ。
中国側は中国側から4人が取締役に就任し、本社をイギリスから中国に移管するとしたため、従業員の間でも動揺が広がった。
これはちょうどチャールズ皇太子やジョンソン首相が相次いでコロナ感染し、イギリス国内の対応もコロナ一色になった時期であり、このどさくさの中で中国側が一気に動いたのではないかと見られている。
これに対して、イギリスのドーデン文科大臣が同社に対して事情聴取をしたいと申し入れたことから、この流れに一応のストップがかかった。
さて、この問題を英議会が取り上げた。
アメリカでは中国側の同様の買収を阻止したのに、イギリスではどうして中国の買収を許したのかというわけだ。
この買収を認めた背景には、中国企業のために動いて利益を得た政治家、コンサルタント、ジャーナリストなどの関与が間違いなくいろいろとあったはずだ。
なお、「キャニオン・ブリッジ」の共同創業者には、トニー・ブレア首相の「黒子役」とも言われ、イギリス労働党の実力者のマンデルソン氏がおり、彼がこの動きの中のキーパーソンであったのは間違いない。
下院外交問題特別委員会のトゥゲンドハット委員長は、中国共産党に従うかのような行動を取った者には、厳しい調査が行われると述べた。
さて、イギリスにもまだまだ親中派は多い。
財界だと、中国抜きの今後のビジネス展開は考えられないと思う方が普通だろう。
このコロナ騒ぎの中で、マスク・防護服などの中国から来る防疫物資が差し止められたらどうするんだという恐怖感もある。
そしてそうした弱みにつけ込んで、5Gの展開などでも中国は密かにゴリ押しを続けている。
だから、まだまだ一筋縄ではいかないだろうが、今回の件で中国の常軌を逸した恐ろしさを骨の髄まで感じているイギリス人も多いことだろう。
彼らの奮起を期待したい。
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