新型コロナウイルスの感染拡大によって、アメリカの食肉処理施設の従業員の間でも新型コロナウイルスに感染するケースが増えている。
食肉・食品加工業において、すでに6500人以上の感染者が見つかっており、亡くなった人も20人にのぼっている。
こうした感染拡大の中で、食肉処理施設の中には操業停止を決めたところも多い。
こうした施設の労働組合からすれば、従業員の安全性の確保のためには操業停止もやむをえないということになるのだろうが、こういう施設が相次いで操業停止すれば、全米で食肉を食べることができない事態になる。
これは、今回の新型コロナウイルス問題の縮図のようなものではないだろうか。
一部の人たちの安全を優先すれば、全国民を犠牲にすることにつながりかねないということを、象徴的に表しているからだ。
「肉など食べなくても、人間は生きていける」という見地から、このような非常時には「肉を食べたい」という欲求などぜいたくな考えだと思う人もいるだろう。
だが、食肉加工を止めるということは、食肉生産を止めるということにもつながっている。
こうなると、食肉加工施設も食肉生産施設も遊休化し、「平常時」に戻ったとしても、食肉生産がなかなか回復しにくいという事態に陥ることは容易に予想される。
さらに言えば食肉生産業者に飼料を供給している穀物生産業者にも大きなダメージを与えることになり、アメリカの食料のサプライチェーンが崩れることにも繋がりかねない。
アメリカでは現在、感染拡大前の60%程度の食肉生産しかできていないようなので、アメリカ産の豚肉・牛肉が日本に入ってこなくなる可能性も出てきた。
こうした食肉生産の落ち込みに対して、トランプ大統領は国防生産法に基づき、食肉処理施設に操業継続を命じた。
高齢だったり基礎疾患があったりする労働者には自宅待機させるように促すとしながらも、食肉生産は止めさせない姿勢を鮮明にしたわけだ。
労組側はトランプ政権に対して、最高レベルの防護装備の提供や感染検査の連日実施を求めている。
だが医療機関で防御装備が不足している中で、食肉加工業者に十分な防御装備を回す余裕はもとからあるわけがない。
感染検査の連日実施ができるような環境にも当然ない。
ここで問いたいのは、そうした処置がとれる条件がなければ、食肉生産を止めることはやむをえないことなのか、ということだ。
十全たる感染防御を労働者に提供できなくとも、生産は継続させるしかないというのが、私には妥当な判断だと感じられる。
なお、畜産農家はすでに肥育している豚の出荷が見込めないことから、豚の堕胎や安楽死を行っており、大統領の判断は遅きに失したとの声も上がっている。
※ 日本再興のために、以下のバナーをポチッとしていただけると助かります。
ネタ元のニューヨーク・タイムズの記事
https://www.nytimes.com/reuters/2020/04/28/us/28reuters-health-coronavirus-trump-liability.html
無料メルマガ
最新情報やプレゼント特典などをメール配信しています!メルマガでのみ公開しているネタあり!今すぐ無料登録しましょう!