アメリカ大統領選挙では、民主党の候補者が徐々に絞り込まれてきた。
その中で今最も有力だと思われているのが、バーニー・サンダースだ。
彼は自分のことを社会民主主義者だと公言している人で、左寄りの人であるのは公知の事実であるが、いろいろと誤解している人も多いように思う。
「彼のことを社会主義者だと言って批判する向きがあるが、彼の言っていることは日本では普通のことばかりだ」などという意見を聞くと、正直びっくりする。
社会民主主義というと、北欧諸国が頭に浮かぶと思うが、彼が政策として訴えているのは、北欧型社会民主主義よりは、もっともっと社会主義に近いものだ。
例えば、サンダースは国民皆保険制度を提唱していて、これを聞けば確かに日本と同様の制度をアメリカに作ろうとしているように感じるだろう。
だが、サンダースは金持ちを敵だと考えていて、金持ちしか入れない民間の医療保険を禁止することを公言している。
金持ちだけしか受けられない医療があることが倫理的に気に入らないのは、感情的には理解できるが、そのことがアメリカの最先端医療を生み出すのに貢献しているということを、彼は著しく軽視している。
彼は薬価の強制的な大幅な引き下げを目指しているが、これがアメリカの医薬品産業の競争力を奪うことにつながる危険性も、まじめに考えていない。
就職保証制度を導入して失業をなくし、最低賃金を時給15ドルにまで引き上げるとしているが、こうした政策が机上の空論にしかならないことは、韓国を見ていればよくわかるだろう。
彼の考えには効率性とか競争力というものはほぼ存在しない。
これをやられたら、アメリカの産業はガタガタになるだろう。
大企業が事業活動を行う場合には、連邦政府の許可証が必要になるとの政策も提言している。
連邦政府の許可を受ける代わりに、企業が全てのステークホルダー(利害関係者)のために行動するように、大統領が指令を出せるようにするのだ。
この場合のステークホルダーの中には、株主や経営者だけでなく、労働者や消費者も入っている。
つまり、労働者や消費者に不利益をもたらしていると判断したら、経営のあり方に政府が首を突っ込むのは当たり前だと思っているわけだ。
その根底には、資本主義というものに対する根深い不信感がある。
北欧型の社会民主主義は、企業には自由に稼いでもらった上で、その代わりに税金はたっぷり払ってもらって、それを格差の是正などに有効利用しようというものだが、サンダースの考えはそのようなものではない。
社会の強い統制のもとに置かないと、企業はろくなことをしないという信念に貫かれているわけだ。
ここまでひどい格差を放置してきたアメリカ社会への痛烈なアンチテーゼとしては、サンダースの登場は必然だったのかもしれない。
だが、彼が現実に大統領になるとしたら、その時はアメリカはとてつもない困難に陥ることになる。
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