アメリカの巨大金融機関のJP モルガン・チェースは、中国の招商銀行の資産管理部門に27億人民元(430億円)の出資を行い、10%の権益を確保すると発表した。
中国は昨年から外国企業への金融の開放を進めており、先月(2021年2月)にはイギリスの資産運用大手のシュローダーが中国交通銀行との間で資産管理の合弁企業を創設している。
中国の資産管理市場は2023年には30兆ドル(3000兆円)規模に達すると言われ、この巨大市場に食い込もうと西側の金融機関は鼻息が荒い。政治の世界では中国と西側は対立構造にあるように見えるが、逆に金融では関係が強化されている。
ところで、中国がなにゆえに国内の金融を急速に開放し始めたのかを冷静に考える必要がある。
外国投資を受け入れることで中国経済の延命を図りつつ、中国経済と西側の経済の利害がリンクする状態にし、中国を経済的に追い詰めれば、それが西側経済に即座に波及するような関係を作ろうとしているのだと思われる。これにより、西側から中国への本格的な経済制裁が行えないような環境を作っていこうとしているのだろう。それはまた、中国のバブル崩壊が起こったときに、世界中が巻き込まれることを意味する。
こういう点で大いに警戒しなければならない事態であるが、アメリカのバイデン政権がこのことを問題視している形跡はない。
それはともあれ、日本の金融機関にはくれぐれも欧米の金融機関の真似はしないでもらいたいものである。
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