ゴーン被告がコントラバスなどの大型の楽器の箱の中に隠れて出国したという報道が当初からあったが、私は当初はこの話を完全に疑っていた。
出国手続きの際には手荷物検査は必至であり、そんな低レベルのことがまかり通るわけがないと、思い込んでいたからである。
なので、プライベートジェット機の機内に持ち込まれた荷物が、関西空港でX線による検査を受けていなかったというこの報道に接した時に、すぐに訂正報道が出るのだろうと、私はタカをくくっていた。
だが、結局そんなものが後から出てくることはなく、丸一日が過ぎた。
それゆえに、この件のショックは大きかった。
ポイントは2つある。
1つ目は、これはゴーンサイドの問題ではなく、我が日本国サイドの問題であるということだ。
大型の荷物になると手荷物検査に引っかからないというのであれば、プライベートジェットを使えば、密輸はやりたい放題ということだ。
今回は「輸出」なので、日本に危険物が持ち込まれるという話ではないと見ることもできる。
だが、大型の荷物の手荷物検査をすっ飛ばした理由は、X線の機械に入らない大きさだったことによるのだとすれば、「輸入」においても同様のことがまかり通っている可能性すらあることを意味する。
こうなると、深刻さの度合いが違ってくる。
このあたりの疑念については、関係者へのしっかりとした後追い報道を行ってもらいたいが、こういう一番肝心な点になると、今のマスコミでは期待できないところに、腹立たしさを感じる。
2つ目は、この抜け穴をゴーン氏は事前に知っていたということだ。
ゴーン氏が今回の脱出劇のために日本の空港職員を買収して行わせたというような話だとは、日本的な常識からは考えられない。
つまり、プライベートジェットを利用する人たちの間では、このようなゆるい処置を日本側が取っているということは割と知られていたということなのだろう。
今回の出国が羽田や成田ではなく、関空だったというのも、関空だと緩いという事前情報があったからではないかと考えられる。
出国に失敗すれば、15億円の保釈金が没収されるだけでなく、今後の監視が厳しくなり、裁判上でも大きな不利益が発生する。
そのリスクを敢えて犯してまで出国する道を選んだのは、そのリスクが現実には極めて小さいということを理解していたからだろう。
プライべートジェット機の場合、運航する会社や機長の判断でX線による荷物の検査を行わないことがあるなどということは、絶対にあってはならない話のはずだが、現実にはあった。
さて、そうすると、ゴーン被告はどう考えても正規の出国手続きを済ませて出国したことにはならないことになる。
とすれば、我が国はレバノン政府に向けて、以下の諸点を伝えるべきであろう。
1)ゴーン被告の出国は正規の出国手続きを済ませたものではない。
2)ゴーン被告の持つパスポートに日本の出国のスタンプ等の記録が記載されているとしても、それは偽造されたものである。
3)出国が不正であるのは明らかなので、ゴーン被告を日本に対して直ちに送還して頂きたい。
4)こうした法的正義が実現されないのであれば、日本政府はレバノン政府との友好関係を維持することはできず、然るべき処置をとる。
そしてこれは、日本政府はレバノン政府に対して通告するだけでなく、広く世界中のマスコミに向けても広報すべきである。
こういう当然のことを、日本政府はいつもやりたがらない。
もうそろそろこういう「優等生」ぶったバカげた態度は卒業してもらいたいものだ。
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これのネタ元のNHKの記事
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200105/k10012235671000.html?utm_int=detail_contents_news-related_001
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