経済

着実に進む中国のバブル崩壊! 「四川信託」破綻が示すもの!(朝香 豊)


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「シャドー・バンキング」(影の銀行)の問題が、中国でさらに大きくなってきた。

銀行預金ではあまり利息が稼げない時に、銀行よりも利息が高いところに資金を預けて資産を増やしたいというのは、人間の願望としては当然かもしれない。

「四川信託」はこうした人々の願望を叶え、250億元(3800億円)を上回る預かり資産を受け入れながら、10%という高い利息を投資家に支払ってきた。

「四川信託」は人々から集めたお金を不動産開発、インフラ整備、製造業などの様々なプロジェクトに資金を回してきたとされる。

だが、4月に金融当局が販売規則を強化したことで、「四川信託」は窮地に陥った。

今までのインチキぶりがばれちゃったわけだ。

そもそも銀行から融資してもらえるのであれば、5%の金利の支払いで済むのに、どうして10%の金利を支払ってお金を集めているのか。

それはその投資事業が安定したリターンを見込めるようなものではなく、銀行からは融資を受けられないようなものに投資していることが多いからだ。

「四川信託」は10%の金利をしっかりつけて元本の返済を行ってきたということになっているが、そこには単純なカラクリがある。

新しい商品を販売し、前よりも多くのお金を集めた上で、そのお金で前の商品の元本と金利の支払いに充ててきただけなのだ。

要はネズミ講と同じで、ネズミ講が拡大している間は「利益が出る」わけだ。

これまで情報開示がほとんど必要とされなかったために、このネズミ講的な手法が使えたわけだが、規制が強化されたために、突然行き詰まった。

そして中国ではこうした「信託」商品の行き詰まりが増えている。

2015年でも1四半期(3ヶ月)で1000億元(1.5兆円)程度の破綻があり、当時から大問題とされていたが、現在ではこの規模が違う。

2020年の第1四半期だけでこの破綻額は6500億元(10兆円)にまで拡大している。

つまり6.5倍になっているわけだ。(下図参照)

当然中国の人たちも報道を通じて年々破綻が激増している事実は知っている。

それでも人々が「四川信託」を信用したのには理由がある。

それは、「四川信託」の過半の株を持つLiu Canglong氏は、中華全国工商業連合会の副会長や中国人民政治協商会議の委員を務めていた人物だからだ。

つまり中国共産党の中枢とガッチリつながっている人物なのである。

「四川信託」はこういう人脈を利用したインサイダー取引にも関わっていたとされ、また仮に損失が出たとしてもその政治力でなんとか解決してもらえるのだろうという期待もあったわけだ。

さて、それ故にこの「四川信託」行き詰まりの意味は大きい。

中国共産党中央とズブズブの関係を持っていたとしても、もはや存続させられなくなってきたということを意味するからである。

中国のバブル崩壊は着実に進んでおり、もはやこの流れを逆転させるのは不可能である。
 
 

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