安全保障

中共は明天集団を接収! 中国・香港は投資できる場所ではなくなった!(朝香 豊)


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肖建華は中国を代表する大富豪だ。

江沢民派の資産管理を引き受け、明天集団という企業グループを作った。

香港を拠点にマネーロンダリングにも関わり、江沢民派の資産を海外に移すのに深く関わっていたと見られている。

江沢民の後ろ盾で総書記に上り詰めた習近平が、江沢民を裏切ったことから、習近平派と江沢民派に亀裂が走り、肖建華は習近平派から狙われることになった。

肖建華は香港の居住資格を獲得し、さらにはカナダ国籍も取得して身を守るようにしていた。

中国本土に戻れば何をされるかわからないが、香港であれば安全性はかなり高いはずだった。

だが彼は香港にいれば十分安全だと高をくくっていたわけではない。

一流ホテルのスイートルームを滞在用に貸し切っていたが、ホテルのセキュリティーだけでは安心できず、多くのボディーガードを雇って、自らの身を守っていた。

彼が滞在したフォーシーズンズホテル

それでも2017年1月に、中国共産党は彼を拘束しにやってきたようだ。

彼は突然「失踪」し、その後は中国本土に囚われていると考えられている。

さて、彼が築いた明天集団には10の金融機関があり、そのうちの1つ「包商銀行」は昨年の5月に接収された。

そしてこのたび、残りの9つの金融機関が政府によって一気に接収された。

9社の総資産は14兆円ほどだと推定されている。

明天集団の接収企業(日経新聞より)

この接収により、取締役会や株主総会は一切の効力を奪われ、中国共産党が送り込んだ経営陣が今後は運営することになった。

この事件の意味することは何か。

江沢民派に対する締め付けの強化であるのは当然だ。

だが、おそらく狙いは江沢民派だけではなく、海外に資産を逃がそうとする奴は許さないというメッセージも込められているだろう。

そして我々が見失っていけないのは、彼は純粋な中国人ではないという点だ。

彼はカナダ国籍を持つ人間でもあったのに、その資産を中国はいとも簡単に接収してしまった。

これは今後、中国や香港でビジネスを行う場合に、いつどんな難癖をつけられてその資産が接収されることになるかわからないことを意味する。

財産権の不可侵なんて考えは、中国共産党にはない。

さて、習近平は国内の富豪たちに香港投資を積極化させるように働きかけているようだ。

国家安全維持法の施行によって香港が安定化することを歓迎した流れにより、香港に安心して投資をするようになったという「ストーリー」をでっち上げたいのだろう。

ビジネスがやりにくくなり、不動産を手放して香港を離れたいと思っている人が多いはずのこの香港で、不動産価格が逆行高を見せているのだ。

この目先の値動きに騙されてはいけない。

アメリカは香港の特別扱いをやめ、中国本土と同じ扱いにした。

香港の特権はなくなったのだ。

しかも国家安全維持法は、中国人、香港人のみならず、世界中の人間を対象としている。

香港にいること自体が自分の身に危険を及ぼす。

財産のみならず、命さえどうなるかわからない。

肖建華は今や生きているのかどうかもわからない状態なのだ。

このリスクを、日本の政財界は軽視しないでもらいたい。
 
 

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画像はCNNから(肖建華)
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画像は日経新聞から(明天集団の接収企業)
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