台湾の立法院(国会)はアメリカとの国交回復を「積極的に推進するよう」蔡英文政権に求める決議案を全会一致で可決した。
注目すべきは、この提案が親中派と見られてきた国民党から提出されたことだ。
蔡英文総統は李登輝元総統の告別式に参加したアメリカのクラッハ国務次官を招いての歓迎夕食会で、「台湾は重大な一歩を踏み出す決意を固めた」と述べたが、この「重大な一歩」が米台国交回復を意味することは十分に推測できるだろう。
ここまで米台関係が動くに至って、国民党は民進党に対中・対米政策の一方的リードを許さないためにも、大きな方針転換を行ったように感じる。
さらに国民党は、中国軍機が9月中旬以降に台湾の防空識別圏(ADIZ)に十数回進入し、威圧的な飛行をしたことを問題として取り上げ、蔡英文政権に対して米国とのさらなる軍事協力を求める議案も提出し、こちらも可決された。
同議案では、中国共産党の高まる軍事的威圧を平和と安定に対する脅威とみなすようアメリカに求め、『台湾関係法』に基づいて、外交的、経済的手段だけでなく、安全防衛手段(要するに軍事力)をも用いて、台湾を援助するようアメリカを積極的に説得すべきだとしている。
対中国の基本姿勢で与党の民進党と最大野党の国民党が同じ歩調になったのは、台湾の安全保障を考える上で非常に意味深い。
なお、アメリカでも台湾との国交回復を求める法案が下院に提出されている。
さらに、アメリカのクラフト国連大使は、「台湾が完全加盟していない国連は世界を欺いている。中国共産党は自由で開かれた社会を恐れ、台湾の国際的な注目度を全力で抑えつけている」と述べ、台湾の国連への完全加盟を求める演説を行った。
また、アメリカの駐中国大使のブランスタッド氏が突然辞任したまま、後任は決まっていないのは、事実上中国からの大使の引き上げだと見なされている。
米台国交再確立に向けて、米台双方の国がともに激しく動いているところに大きな歴史の転換点を感じる。
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