「トランプ大統領離任後も60日間は米軍の指令ができる」といった噂を未だに信じている人が多いことに驚いている。
根拠とされているのは「大統領過渡期強化法」(2019)だという。
まず考えてもらいたいのは、常識的に見て、選挙で破れた前大統領に大統領権限が残るような規定を、法律が用意することがありうるのだろうか。軍の最高司令官が大統領以外になりえないことは、わざわざ合衆国憲法第2条第2節第1項など持ち出さなくても、理屈の上でもありえないだろう。
記憶をさかのぼってもらいたいのだが、2019年にこの法律改正に関して民主党側が頑迷な抵抗をしたといった報道は記憶にあるだろうか。全くないだろう。実はこの法律はそもそも共和・民主両党で超党派で用意したものであり、全会一致で採択されているものなのである。この事実は、噂と現実は全く違っていることを示しているともいえる。
そして、「大統領過渡期強化法」について調べれば、やはり噂のようなことは全くないことがすぐにわかる。
政権移行の過渡期には、前政権から次期政権への様々な引き継ぎ業務が発生する。新政権が発足した後にも前政権にいろいろと協力してもらわないといけないことがある。その時に必要となる経費については一般調達局(連邦政府財産を管理する役所)から支出されるわけだが、だらだらといつまでも続けられるというのは適切ではない。そのために、この引き継ぎのために使える期間は法律によって制限されてきた。
従来はこの期間は180日間だったのだが、実務的にそんなに長い期間は必要ないということで、2019年に60日間に短縮された。これが「大統領過渡期強化法」(2019)で修正された内容である。
この規定は当然ながら、現政権の都合を最優先にしたものである。だから、前政権側から必要性を訴えても、現政権側がその必要性を認めなければ、当然にも却下できる。
例えば、トランプ政権期のミラー国防長官代行がバイデン政権に対して、円滑な政権移行のために自分たちのスタッフが使える事務所をペンタゴン内部に用意してもらいたいと伝えたのに対して、バイデン側は拒絶して、政権移行と同時にペンタゴンから離れることを要求した。ミラー国防長官代行はそのバイデン側の決定に従わざるをえなかった。
事実と願望は区分けせねばならないのだが、これは口で言うほど簡単なことではない。
そしてトランプ支持派を貶めるために、こういう噂を広げれば信じてしまうだろうと考えて、意図的に流している人たちがいることに警戒を持つべきである。
この件でお花畑の人たちにバカにされるのは、あまりに悲しい。
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