外交公電などに使われる暗号機を製造していたスイスの企業「クリプト」が、1960年ごろからアメリカのCIAと当時の西ドイツのBND(連邦情報局)によって秘密裏に運営され、各国の機密性の高い情報が解読されていたと、欧米メディアが報じた。
CIAとBNDは「クリプト」の株式を取得したあと、リヒテンシュタインにある法律事務所の支援を得て、経営主体が分からないようにしていた。
日本を含む120か国以上に販売されており、日本の外交文書も筒抜けであったことがわかる。
報道したのは、アメリカのワシントン・ポストとドイツの公共放送ZDFだ。
アメリカがこういったことを様々やってきたのは公然の秘密だろうから、自分としてはいまさら驚きはしないが、一般の欧米人の中にはショックを受けている人も多いのだろう。
私としてはむしろ、今なぜこのタイミングでこんな話が出てきたのかに注目したい。
今世界は、ファーウェイの危険性を訴えてその排除を求めるアメリカと、ファーウェイは安全だとしてその普及に乗り出している中国の激しい対立がある。
中国の危険性を訴えているアメリカが、こんな卑劣な手を使って外交秘密を入手していたんだぞという暴露は、中国側によって仕組まれたものだろう。
こうした事実が暴露されれば、アメリカの主張をそのまま鵜呑みにするような選択は、非常にしにくくなる。
イギリスをはじめとした欧州で、ファーウェイの導入の可否がいよいよ最終的な判断に向かって動くこのタイミングを狙って、中国は動いたということだろう。
この情報をこのタイミングまで引っ張ってきた中国はさすがだ。
とはいえ、アメリカに情報を抜かれるのと、中国に情報を抜かれるのでは、その意味合いがまるで違うという現実を、リアリティーを持って私たちは理解する必要があるのではないかと思う。
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