中国が一国二制度の国際的な約束を踏みにじり、香港に「国家安全維持法」を押し付けたことへの対抗策として、イギリスはこうした香港市民にイギリスの市民権を与える道を開くと発表した。
これに対して中国は、このイギリスの発表に反発し、報復を行うと表明した。
具体的にどうするのかは一切明らかにしていないが、中国がオーストラリアに対して行っていることが参考事例になるだろう。
すなわち、イギリスからの輸入品に高関税をかけるなどして中国への輸入をストップさせる、イギリスへの渡航や留学を禁止する、原発・鉄道投資の約束を撤回するなどだ。
だが、こうした動きは、自らイギリスとの経済関係を断ち切ることになり、中国側の損失も大きいはずだ。
アメリカへの留学がままならなくなり、オーストラリアやイギリスへの留学もできないということになれば、中国人の英語圏への留学は極めて制限されることになる。
そもそも思い通りに世界が回らない時に中国が経済的関係を断ち切る動きを見せるのであれば、中国との関わりには常にそのようなリスクが付きまとうことを意味する。
これは企業にとっても国家にとっても無視できない脅威である。
このことが中国外しに動きを加速させ、中国抜きの経済圏を構築する動きを加速させることになるのではないか。
ちなみに、習近平路線への反発を露骨に示すようになった李克強首相は、中国の貿易関連企業の9割が倒産するとの見方を披露した。
彼には習近平のような権力がないが、習近平総書記が進める戦狼外交を続ければ、多くの業者が立ち行かなくなることが、彼には冷静に見えているようだ。
ところで、中国は国外からの反体制運動が強まらないようにするために、また多くの富を国外流出させないようにするために、香港人の出国自体を認めない方向も検討しているだろう。
いくらイギリスが受け入れを表明したところで、出国できなければ意味がない。
だが、こんなことをすれば、ますます香港や中国でビジネスを行うことの危険性を世界に知らしめることになり、撤退する企業が相次ぐことになる。
さて、中国南部を襲った豪雨のせいで、食糧危機の発生の可能性も出てきた。
バッタの大量発生も確認されており、湿った環境の中で異常繁殖し、この被害が中国全土に広がることもありうる。
現在北京で急激に広がった新型コロナウイルスが北京の食品卸売市場から広がったために、中国は輸入食料にウイルスが付着していない証明を求めるようになり、この結果として中国への食料輸出のハードルは高くなっている。
中国が自ら外国との経済的関係を壊し、時には重要な食料の輸入まで差し止めることをやり、他方で輸入食料に対して現実性を無視した証明まで求めるようになり、その上で国内の食糧生産が大打撃になったら、一体どういうことになるのだろうか。
中共体制は破滅に向かって進んでいるようにも感じる。
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