ウイグル人の監視・統制を強化するため中国が遺伝子情報を収集していることは人権団体などがこれまでも指摘してきたところである。
ニューヨーク・タイムズはこうした遺伝子情報を解析するのに、アメリカのバイオテクノロジー分析機器メーカー「サーモ・フィッシャー・サイエンティフィック」と「プロメガ」の遺伝子情報収集装置が使われていると報じた。
こうした遺伝子情報収集装置が新疆ウイグル自治区の警察向けに販売されることはトランプ政権によって禁じられてきた。だが、中国の民間企業が何らかの手段でこうしたアメリカ製機器を入手した後に、新疆ウイグル自治区の警察に転売され続けてきたと見られている。
メーカーは直接の販売先だけではなく、最終的に機器がどこにわたっているのかまで把握しなければならないことになっている。「サーモ・フィッシャー・サイエンティフィック」はこうした点で責任を負うことを約束した代理店を通してしか販売していないと主張する。
それでも中国国内ではこういうことが起きている。このことは、相手が中国の場合にはこうした約束が守られることはないと考えなければならないことになる。
中国では6月10日に「反外国制裁法」が制定され、即日実施された。同法によれば、中国への制裁を決定・実行した関係者のみならず、その親族まで中国政府がリスト化して「報復リスト」を作成し、罰則を与えることができることになっている。さらに、いかなる組織や個人も、外国が中国に対して行った差別的な制裁の実施を支援してはならないとしている。このため、ウイグルで生産される新疆綿の購入を停止するといったことも、中国に対する差別的な制裁の実施の支援にあたり、制裁対象になると考えるわけだ。
このため、中国に対してルールに従う形でアメリカ企業が販売を行ったとしても、買い手の中国企業はそんなアメリカの法律の要請など全く守らずに、転売してはいけないところに転売することになる。
法律ができる以前からこんなことは行われてきたのであり、今回の法律制定はあくまでも西側に対する宣伝でしかないと見るべきだろう。それはともかくとして、中国人や中国企業がコンプライアンスを遵守することを前提として商売することは、もはや全く考えてはいけないことになったということは言えるだろう。
この事態を受けて、バイデン政権や菅政権はどう動くのか。
もはや米中ともにいい顔をすることはできなくなった。この冷厳な事実から日本の企業経営者は目をそらしてはならないと考える。
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ウイグルの綿花の画像
https://stat.ameba.jp/user_images/20200917/11/gekifutoriyagineko/a7/49/j/o1920108014820713362.jpg?caw=800
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