中国国家インターネット情報弁公室(CAC)はアプリストア運営各社に対し、配車サービスを手掛ける中国の滴滴出行(DiDi)のアプリを提供リストから除外するよう命じた。これにより、DiDiは新規ユーザーを獲得できなくなった。
なお、既存ユーザーはアプリを削除しない限り、使用できる模様だ。DiDiは、規制上の要件に沿う形にアプリを修正する作業に取り組んでいるとしている。
中国企業として最大級となったアメリカでの新規株式公開(44億ドル=日本円で5000億円程度の資金を調達)からまだ数日しか経過していないタイミングでのこの命令で、新規公開に応募したアメリカの株主にはこの上ない打撃になった。
共産党機関紙の環球時報はDiDiのアプリの除外命令に関する論説で、アメリカに上場したDiDiの大株主は外国企業だと指摘し、中国は情報セキュリティーで厳しい監督を採用する必要があると主張した。今回の命令は個人情報と国家の安全確保が目的であるとしている。
大株主となったアメリカ人・アメリカ企業であっても、中国企業の企業情報には今まで以上にアクセスできないようにするということのようだ。それならアメリカに株主がまだ生み出されていない新規株式公開前にやるべきではないのか。アメリカの株主の利益など度外視している中国政府の姿勢が、ここに見て取れる。
さらに同紙は、政府が集めるよりも詳細な個人情報を備える「スーパーデータベース」をインターネット企業が持つことを中国は決して容認しないと指摘し、ネット企業が業務で得たデータの全面活用も禁じるとの見通しを示した。
これを文字通り解釈すると、DiDiが規制上の要件に沿う形にアプリを修正するというのは、企業が集めた個人情報を中国政府がそのまま吸い上げる仕組みを作り、その一部だけをDiDiが利用できるようにするという改変を行うということだと思われる。この流れはアリババに対する扱いと同じである。中国政府が企業を通じてビッグデータの情報を徹底的に吸い上げる仕組みに向かっていることを、我々は理解すべきだ。
なお、中国では企業の会計情報を国外に持ち出すことが禁止されている。このためニューヨークなどに上場している中国企業の「会計情報」はデタラメだと思っていい。「それでも習近平が中国経済を崩壊させる」にも記した話だが、中国企業の「デュオヤン・グローバル・ウォーター」は売上を80倍にも水増しした「監査報告書」をアメリカの証券取引所に提出していたくらいである。
こうした中国企業の上場について厳しい姿勢を示していたのがトランプ政権であったが、バイデン政権になってから再び緩められる動きが出ていた。だが、さすがに今回のDiDiの問題を受けては、親中姿勢を持っているバイデン政権であっても、中国企業の上場について考え直さなければならなくなるだろう。
米中のデカップリングは資本市場でも進んでいかざるをえないのが流れである。
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DiDiの画像
https://static.reuters.com/resources/r/?m=02&d=20210704&t=2&i=1567855530&r=LYNXNPEH6305J&w=800
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