安全保障

トルコ、難民入れるとEU脅す! ヨーロッパ危機!(朝香 豊)


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トルコ政府はギリシャとの国境を開放して、トルコ領内にいる難民を欧州に流入させると発表した。

2015年にも大量の難民がヨーロッパに渡って大混乱を起こしたが、その時の難民の数は年間で130万人程度と推計されている。

現在トルコ領内にいる難民は400万人以上と言われ、この大群がヨーロッパに流入することになれば、ヨーロッパの混乱は並大抵のことでは済まなくなる。

2016年に、トルコは60億ユーロ(約7200億円)をEUから受け取る代わりに、ヨーロッパに向かおうとする難民をトルコ領内でとどめておくことで合意した。

しかし、その後に難民がどんどんと増え続けていることもあり、トルコのエルドアン大統領は、さらなる譲歩をEU側に対して求めてきた。

これに対してEUは追加で10億ユーロ(約1200億円)を支払うという提案をしたが、それは難民の増加速度に全く追いつくものではないとして、トルコ側は拒否したわけだ。

話を複雑にするのは、トルコ領内にいる難民の大半がシリア難民だということだ。

トルコがシリアの反政府勢力を支援しており、両国の国境地帯に位置するシリアのイドリブ県で激しい戦闘が生じてきた。

つまり、この意味では、難民はトルコが自ら招いていると言っても過言ではない。

しかもヨーロッパを弱体化させるために、意図的にやっているのではないかと勘ぐりたくなるふしもある。

それはともかくとして、こうした結果として難民が増えているから、トルコからもっと金を出せと言われても、EUの側も承服しがたいところがあるのは当然だろう。

だからといって、トルコ側を非難すれば、トルコが納得するわけはない。

トルコは一方的にEUを脅せる立場にいるわけだ。

現実には、国境が完全に開いてしまえば、大量の難民がギリシャ領内に突入するのは避けられない。

そしてトルコ側は現実に国境の検問所を開け、ギリシャ側が催涙ガスを発射するなどして、難民の流入を食い止める段階に入った。

「難民がかわいそう」「彼らにも人権がある」という薄っぺらい人道主義だけでこの問題を捉えていると、国家体制が揺らいでいくことになる。

目的地を求めて動いていく難民たちが、途中で新型コロナウイルスに感染しながら、ヨーロッパ全土に感染を撒き散らしていく「触媒」の働きをする可能性も大いにありうる。

こういう観点で見ると、ヨーロッパは最大級の危機に今陥っているとはいえないだろうか。

これを扱ったBBCの動画を下の方に貼り付けておいたので、よかったら見てもらいたい。

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