東京電力パワーグリッドは台風襲撃から5日目の13日に、今後の復旧にさらに2週間かかること、それでも全部の復旧が完了するかどうかはわからないことを明らかにした。
想定外の事態に陥っている背景には、老朽化したインフラの影響が大きいようだ。例えば、送電線の鉄塔は1970年代に建てられたものが多い。1970年代は年間で6000基から8000基の鉄塔が毎年建てられていたが、2000年以降は年間で1000基程度に留まっている。今回の台風では2基の鉄塔が倒れたが、これらは1972年に建てられたもののようだ。
今後の被害をなくすためには、送電線の埋設も重要になるが、コストが圧倒的に変わるので、電力会社としては進めにくいのが実際だろう。このあたりについては情報をしっかりと開示した上で適正な議論が進められるようにすることが求められる。
さて、日本では1995年から電力自由化が少しずつ進められるようになり、この頃から電力会社はコスト削減を強く意識するようになった。1995年に東京電力の資材部長に就任した清水正孝氏(福島原発事故当時の社長)は「コストカッター」とも呼ばれ、全体で2兆円かかっていた調達費の4割削減を実現させたことでも知られる。
総括原価主義で電気料金を上げたい放題だと日本の電力会社は叩かれていたが、実は裏ではこのような激しいコストカットが行われていた。
さらに受注業者を事前に絞り込む談合を行なっていたことが公正取引委員会から独禁法違反だとされ、完全競争入札を求められていたことが響いていることも考えられる。完全競争入札で最安値を提示した企業から購入するとなれば、品質の確保は当然ながら難しくなる。設備関係で完全競争入札を行うのは現実的ではないと思っていたのだが、そういったことも今回の事態に絡んでいる可能性は否定できない。
電力会社を悪者にして終わりとするような議論ではなく、将来をどのようにすればうまく進んでいくのかということを、真剣に議論することを進めていきたいものである。
※ 写真は時事通信のものです
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