米中は第1段階の貿易合意に達した。
この合意内容については米中双方で言っていることが微妙に違っていたので扱いにくかったのだが、最終的に出てきた合意案でも曖昧な部分を残したままだったのは、意外だった。
例えば知的財産権の保護について様々な取り組みを中国政府は約束したが、そのための行動計画については、合意発効後30日以内にまとめるとされている。
つまり、どう取り締まるのかの具体策についての取り決めについて、米中間で合意ができないまま見切り発車になっているのだ。
アメリカの農産物の輸入拡大については、2017年の年間240億ドルの輸入実績に対して、2020年に追加的に少なくとも125億ドル、2021年に追加的に少なくとも240億ドルを購入することを確約したことになっている。
早い話が、中国はアメリカから2020年には365億ドル以上、2021年には480億ドル以上購入するとしているわけだ。
ところが中国は、もう一方で、米農産品の大量輸入の約束について、「市場状況に基づく」購入になると、発言している。
中国のアメリカからの農産物の輸入は、年間300億ドルを超えたことがない。
中国国内のマーケットはアメリカからの食料輸入を年間300億ドルまで引き上げるのが精一杯ではないかと見られている。
そもそも中国は今回の合意で、アメリカの主要農産物に課せられた高関税の引き下げは行っていない。
アフリカ豚コレラの蔓延で喉から手が出るほど求めているはずの豚肉でさえ、68%の高関税を維持する。
アメリカに妥協的ではないというメンツを保つために、こういうことで話が進んだというのは想像はできる。
だが、これでどうやって市場状況に基づいて、年間365億ドル以上とか480億ドル以上とかに輸入量を増やすのだろうか。
市場状況に基づいていては絶対に達成できない数値が最低限の数値として書き込まれながら、市場実績に基づくとの中国側の説明の文言は否定されていない。
こうした曖昧さは、当然の後々のトラブルのもとになる。
だから、こういう曖昧さを取り除くことに貿易交渉の担当者はシビアにならざるをえないのが普通のことだ。
今回、こうした曖昧さを残したのは、アメリカ側のシビアな要求に習近平総書記がメンツを重んじて最後まで抵抗したという側面は当然あるだろう。
だが、もっと重要なのは、たぶんトランプ大統領の側では、こうした中国側のメンツを守ってやったふりをしながら、曖昧さを敢えて残すことで、将来「中国は約束を破ったのだ」と大々的に宣伝できる余地を作ったということだろう。
約束をまもらなくてもいい抜け道を用意できたつもりになっている中国と、どうせ守るわけがないことを見越した上で、それをネタにさらに中国に圧力を加えることを狙っているアメリカの合意だと見れば、こうした曖昧さの意味がわかってくるだろう。
一見歩み寄りをしているように見えながら、実は次の中国たたきの布石を用意しているのがトランプ政権のやり方だ。
これで次の第二弾の合意に向かってスタートを切ったのだと思っていては、大間違いだろう。
断言するが、第二弾の合意はありえない。
第二弾の合意ができるとすれば、それは中国共産党体制を終焉させる時でしかないだろう。
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これの元ネタとなるブルームバーグの記事
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-01-15/Q45UC2T1UM0Y01
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