中国政府が推進する巨大経済圏構想「一帯一路」の中に、「中パ経済回廊」(CPEC)計画というものがある。
中国北西部の新疆ウイグル自治区カシュガルからパキスタン南西部のグワダルまでの約3000キロを、道路、 鉄道、石油・天然ガスパイプライン、光ケーブルなどでつなぐという壮大な計画だ。
これに合わせて、港湾の整備、空港の建設、発電所や工場の設置なども行われる、総合的な開発計画でもある。
620億ドルかけて、グワダルの港湾の整備とパキスタン最大規模の空港の建設、道路とパイプラインの敷設、数十に及ぶ生産設備の建設が進められることになっている。
すでに建設開始から7年が経過しているが、工事の進捗は遅れ、計画全体の1/3程度しかまだ進んでいないとの話もある。
この点でも中国への信用はかなり下がっていたのが、さらに追い打ちをかけるような事態が発生した。
中国企業が建設を請け負った電力会社が請求する電力料金があまりにも高いことが問題視されたのである。
パキスタンのイムラン・カーン首相は監査委員会を発足させ、この高額電気料金の原因はなにかの調査をすすめることにした。
この結果、中国企業が請け負った2箇所の火力発電所建設プロジェクトで、建設費用が30億ドル水増しされていることが判明した。
このような事態がパキスタン政府の誰にも気付かれずに進んだとは考えられず、意図的に見過ごされた可能性が指摘された。
これはスリランカやモルディブで展開された事案と同じパターンでもある。
カーン首相が登場する前は、パキスタンはパキスタン・イスラム教徒連盟シャリフ派(PML-N)とパキスタン人民党(PPP)が政権を分け合ってきた。
カーン首相率いるパキスタン正義運動(PTI)は、それまでの政権の腐敗を厳しく追及する姿勢を持っている。
今回の監査委員会の立ち上げとその調査結果の公表も、この流れの中で見ることができる。
親中的な姿勢の強いPML-NとPPPには、この報告はかなりの打撃になるだろう。
歴代のパキスタン政府は、中国との「鉄の友情」をアピールしてきたが、中国側はパキスタン側を友情の対象だとは見ていなかったようだ。
それゆえ、これまでの中国・パキスタンの友好関係は、修復できなくなるほど悪化する可能性もある。
「中パ経済回廊」は一帯一路構想のかなり重要な部分を占めており、一帯一路の成否にも大きな影響を及ぼすことになるのは確実だ。
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