厚生労働省のDMAT(災害派遣医療チーム)の事務局次長の近藤久禎氏は、2ヶ月半ほどの間DMATの一員として札幌市の支援に入った。その時のことを伝える具体的なデータはかなり驚くべきものだった。
コロナの「患者数」としては、病院や施設に入っている人たちは札幌市内全体の「患者数」の1割弱(985人/1万0010人)でしかないのに、「死者数」で見ると市内全体の76%(171人/223人)を占めるというのである。
クラスターが発生しその後に亡くなった患者に限って、その「感染した場所」を調べると、療養型病院47%、一般病院が29%、精神科病院7%、施設17%だという。これらを合計すると100%になってしまうから、それ以外のクラスターが死につながっているということは、少なくとも札幌では起きていないということになる。
さらにクラスター発生病院で感染した死亡者のうち72%はもともと「寝たきり状態」だった人で、全死亡者の中でも45%に相当する。こうした死亡パターンを近藤氏は「最後の一滴死亡」と名付けている。
こうした様相が仮に全国的に同一の傾向を有するとしたら、移動や外食を制限することにどれほどの意味があるのだろうか。病院・施設での感染を引き下げ、感染が発生してもそれを広げないようにすることに重点を置き、一般人の移動や飲食の制限を基本としては解除して、経済をしっかりと動かすべきではないのか。
Sankei Bizによると、「蔓延防止等重点措置」の対象地域が拡大する中、飲食店の客数は全国平均で見ても、ランチで41.7%減、ディナーで64.6%減(いずれも2019年比較)まで客足が落ち込んでいるという。
政府は再び緊急事態宣言の発動に動いているが、何でもかんでも抑制する方が正しいとの議論はあまりに乱暴ではないか。
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緊急事態宣言の画像
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