在ミャンマーの欧米やオーストラリア、韓国などの各国大使がクーデターを起こした国軍による市民への弾圧を非難し、犠牲者を追悼する共同声明を発表した中で、日本はここに加わらなかった。
声明は、これまでに子どもを含む600人以上が犠牲になったことを指摘し、「民主主義を望む国民を支持する」と強調した上で、国軍に暴力の停止と拘束されている指導者らの解放を要求した。
日本政府は国軍との強いコネクションを用いて真剣に交渉を行っていて、そのために国軍に対する非難声明に参加しなかったのかもしれないが、そうだとしてもあまりに愚かな判断だったと言わざるをえない。クーデターが始まってから2ヶ月以上が経過し、これだけ多くの犠牲者が生まれている中では、もはや国軍が国民側と妥協できる余地などない。どちらの側に立つのかを明確に明らかにしなければならない中で、600人を超える犠牲者を出した国軍側を非難できないというのは、事実上軍事政権の味方をしていると思われても仕方がない。日本が陰徳的な行動を行っているとしても、それが確実に実を結ぶ公算があるということでないのなら、共同声明には参加すべきだっただろう。
仮に日本がどんなに深い考えに基づいて動いていたとしても、国際社会もミャンマー国民もそんな日本の考えなど全く理解しない。そしてそのことが日本国のプライドを激しく傷つけるということがどうしてわからないのだろうか。進出している日本企業にしても、今後現地国民から軽蔑されることになる。それは国益の観点から見て適切なことなのだろうか。
日本国民の願いは、日本国政府が道義国家としての道を歩むことなのに、どうしていつもそうした国民の期待を平気で裏切るのか。
さて、今回のクーデターの背後に中国がいることは、すでに「ミャンマーを憂慮するのは終わりだ!日本政府は黒幕の中国を非難せよ!」というブログ記事や「ミャンマー・軍事クーデターの背後に中国の影」というデイリーWiLLオンラインの記事でも指摘した通りだ。国軍を非難しないで中国を非難するというのであれば、まだその立場は理解できる。欧米諸国の目をより本質的な中国に向けさせるという観点からしても、これであれば日本は明確に筋を通したということになる。
もし日本がこの対応に切り替えるとしたら、東アジアの政治力学を根底からひっくり返すことになるが、管政権にその度胸があるとは残念ながら思えないのが実に残念である。
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ミャンマーで国軍に反対するデモ行進の画像
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