私が高市早苗氏が自民党の総裁選挙で勝利する可能性は大いにあると期待も込めて書いてから、状況は急展開した。安倍前総理が高市氏支持を打ち出し、麻生副総理も高市氏支持の意向を持っていることが報じられた。
安倍氏が所属する細田派、麻生氏が率いる麻生派の見解が現段階で高市支持で固まっているわけではなく、両派とも分裂気味のようだが、私は今はそれでもいいと思っている。総裁選挙が実際に動き出して候補者の意見を聞き比べる事態になれば、明晰な言葉で筋を通す高市氏の評価が上がっていくのは必然だろうと見ているからだ。
議員が気にしているのは、自分が当選できる総裁は誰かだけでなく、誰が実際に総裁になりそうかでもある。例えば高市氏に投票したが、実際には岸田氏が総裁に選ばれたということになると、自分は冷や飯を食わされるかもしれない。そういうことを恐れる気持ちも働くだろう。
現段階では大手マスコミではほとんど無視されている高市氏であるが、それゆえに第一回目の投票で1位になったり、1位に肉薄する2位に選ばれたりすれば、流れは一気に変わると見るべきである。その可能性はすでに出ている。
さてその話とは別に、高市氏の経済政策について今回は考えてみよう。
高市氏はアベノミクスの3本の矢を踏襲しているように見えながら、その中身は随分と違う。第一の矢の「大胆な金融緩和」についてはアベノミクスをそのまま受け継ぐものの、第二の矢の「機動的な財政出動」については、アベノミクスと位置付けを大きく変えている。感染症が広がるとか激甚災害が起こるなどした時に躊躇なく財政出動することでこうした危機に対応するという位置付けに変えたのである。
こういうと高市氏の財政出動はそのような特別な事態が発生した時に機動的に動かすというように聞こえ、アベノミクスよりも後退した印象を持つことになるかもしれない。だが実際にはそうではない。というのは第三の矢の位置付けがアベノミクスと全く違うからである。
アベノミクスの第三の矢は「民間活力を引き出す成長戦略」であり、そこには大胆な規制緩和によって民間企業がどんどんと積極投資していく環境を作り出し、生産性の引き上げを目指すものであった。だが高市氏の第3の矢は「大胆な危機管理投資、成長投資」なのである。つまり経済安全保障上のリスクをなくして日本が成長していくのに必要な投資を、大胆な財政出動によって行おうというものなのである。
アベノミクスの財政出動がしょぼいものになったことに落胆した人は多いと思う。私もその一人だが、これを大胆に組み替えることを高市氏は訴えている。日本市場が大きくならない中で民間投資を期待しても、民間はなかなか投資してくれない。政府が積極財政を進めることで日本の経済成長率が上がっていくならば、拡大する日本市場を信頼して民間投資も増えていくことになる。この環境を財政によって実現しなかったことがアベノミクスの弱点であった。この弱点を克服する政策を高市氏は訴えているのである。
この財政出動が単なるバラマキ型ではなく、日本の生産力を高めていこうとする投資に集中しているところにも着目しておくべきである。例えばデジタル化の進展によって消費電力が必然的に増えていく中で、より一層の省エネ技術の確立を目指す投資を行うということを狙っている。そしてデジタル化は日本以外でも今後進展していくことからすれば、こうした技術開発に日本が先んじれば、それは世界をマーケットにできることになる。そうなれば当然ながら日本経済を引き上げることにも大いに役立つはずだ。
また医薬品をはじめとした外国に依存していてはまずい商品について国内生産に移管させていくことも打ち出している。こうした経済安全保障の考えをしっかりと組み入れているのが高市氏の主張なのである。
安倍氏の政策は単に保守的であったわけではなく、リベラル色も強かったという点を指摘し、それゆえにリベラル系にも支持を広げられていたが、高市氏にはリベラル色が薄いためにうまく回らないと考えている人もいるようだ。だが、このような考えは高市氏の政策について誤解しているものではないかと私は思う。
若い世代が安倍政権を支持してきたのは、アベノミクスによって失業率が低い状態にあることで、就職で大きな苦労をしないでも済んだからである。高市氏の政策は財政によって日本国内の生産力も雇用を増やしていこうとするものであり、就職という観点ではむしろアベノミクスよりも強い。そしてこうした政策によって失業率が2.0%程度にまで下がってくれば、労働市場の需給の引き締まりによって賃金上昇圧力がかなり強くかかってくるようになる。
アベノミクスでは失業率は徐々に改善し、一番低い時には2.2%程度まで進んだことはあった。そして確かにこの時は賃金上昇圧力はかかっていたのだが、その期間はさほど長続きしなかった。そのために賃金上昇圧力は今ひとつ力強いものにならなかった。
賃金上昇圧力が強くかかるようになれば、厳しい生活を強いられている人たちの生活改善に役立っていくことになる。最低賃金の引き上げもスムーズに行えるようになる。失業率が大きく下がって転職が容易になれば、ブラック企業を離れる人も増えていく。その結果、ブラック企業が淘汰されていくことにもなる。こうした経済的な環境改善が進んでいくのであれば、こうした人たちの支持は当然集まることになる。
高市氏の積極財政主義は日本の生産力・生産性を引き上げ、賃金・生活水準を引き上げることにつながる。こうした経済面での改善が進むのであれば、それは政権支持の圧倒的な力になるであろう。
こうして見た場合に、高市氏の経済政策が極めて合理的であることがわかるだろう。私は高市氏が総理・総裁になることで、私は自分の考えてきた経済政策が遂に実現されることになるのではないかと期待している。
なお、高市氏については人格的にも立派だと思えるところがある。フリージャーナリストの安積明子氏はその点について非常に印象的な話をしている。安積氏によると、自民党が野党から与党に変わった時に政調会長の記者会見からフリーランスのジャーナリストが排除されるようになったのだそうだ。この時に安積氏はいろいろ掛け合ったが埒が開かず、当時自民党政調会長だった高市氏に直談判しに行った。恐らく高市氏は党内の説得に動いたのだろうが、記者クラブを構成する大マスコミとの関係を崩すことを自民党が嫌ったせいか、どうも党内調整がうまくいかなかったらしい。この時に高市氏は大マスコミ相手の記者会見をやった後で、それとは別枠でフリーランス向けの懇談会をわざわざ用意し、大マスコミ相手の記者会見と同じ時間を充ててくれたのだという。安積氏はその貴重な時間を自分だけで独占するのは申し訳ないということで、自分からフリーランスの記者仲間に声を掛けて、設定された懇談会の時間に集まってもらえるようにしていたそうだ。
安積氏は同様の問題に、岸田氏が外務大臣だった時の外務省、河野氏が防衛大臣だった時の防衛省でも直面したが、結局は岸田氏も河野氏も状況を改善してくれなかったことも語っている。私は岸田氏や河野氏の対応が特にひどいものだとは思わず、省内や大マスコミの抵抗を考えれば当たり前だとも思うが、それではフリーランスの人たちの問題は解決しないことになる。そこで二度手間になるとしてもその解決のために動くべきだと考えた高市氏の姿勢は高く評価できると思う。
そしてこの点は単に人格の話としてのみ捉えるべきものではない。課題に直面した時にどう動くかという姿勢の問題でもある。岸田氏や河野氏は上がってきた問題があっても、調整がうまくいかなければ解決できなくても仕方がないと捉える姿勢である。これに対して高市氏は調整がうまくいかなくても課題を解決するためのアプローチを別途考えて実行するタイプなのだ。こうした差がある中で、どちらのタイプが国のトップとしてふさわしいかは明らかだろう。
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