日本共産党の志位和夫委員長は、選挙投票日当日夜に行われる「当確報道」がメディアの仕事かと疑問を呈した。
世の中にはこのことに「その通り!」と賛辞を贈る人も割と多いと思うのだが、そういう人はそこに非常に大きな危険性が潜んでいることに気が付いていないのだろう。
明らかに公序良俗に反するようなものでない限り、放送局が何を番組として扱うかは放送局の勝手である。実際、放送局には「当確報道」をやらない自由もあり、これを実践しているのが「テレ東」だ。
「当確報道」には多くの視聴者が惹きつけられる魅力がある。普段はテレビを見ない人でも「当確報道」を見るためにテレビをつけるという人も多い。テレビ局の番組がネットでも同時配信されていることは多いから、日頃はネット上でテレビ局の番組は見ないという人でも、「当確報道」が行われる時にはこちらを見てしまうという人も多いはずだ。
こうした「見る側」のニーズに応えるというのは放送局からすれば当たり前のことだ。そしてこの放送局の姿勢を批判したのが志位和夫委員長だということになる。
共産党の頭の中には、民間が自由にものごとを推し進めるとメチャクチャになるとの思い込みがある。社会というものは正しく計画されなければならず、民間企業が私的利潤を追求する中で社会がデタラメにされてはたまらないと考えているわけだ。
だが、社会を計画するとするならば、その時点で特定の価値観で社会を捉えていることになる。「当確報道なんか不必要だ」という気持ちを持っている人もいるだろうが、「当確報道を見たい」という気持ちを持っている人も当然多くいる。この状況の中で、前者の気持ちが「正しいもの」であり、後者の気持ちは「間違ったもの」との線引きがその時点で行われてしまうのである。そうした価値観の押し付けは正しいものなのだろうか。社会を良識に基づいて計画するのが正しいとする発想には、特定の価値観のみを正しいとし、それ以外の価値観を排除する考えが隠れている。
市井の一般人が「当確報道なんか不必要だ」という意見を表明するのは大した問題ではないが、政治家がこのような発言を行うのは相当に慎重でなければならない。そしてこういう意識を志位委員長は全くお持ちではないのだ。
人間とは身勝手なもので、他の人にも自分の意見に共鳴してもらいたいと考え、自分の意見を他者に押し付けたいという願望を自然に持つ。自分の意見と違う見解と触れた時に、「なるほど。今まで自分の中では考えていなかった見方に触れることができた。そういう見方もあるんだと教えてもらったのは自分の見方を広げるのに役立つわ」などと考える人はかなりの少数派だろう。むしろ自分の意見と対立する言論を目の当たりにした時に、それに噛みつきたい衝動を持ってしまう人が多いのではないだろうか。
もちろん自分が賛同できない意見を見つけたときに自分の意見をぶつける自由は当然あるが、その場合でも相手側の意見を尊重する姿勢を示すのが本来の礼儀であるはずだ。理屈ではその通りだが、全ての人間にこんなことができることは残念ながら期待できない。
それでも言論の自由にはこうした礼儀が社会に備わっていることが前提とされるわけで、この前提を大切にすることが健全な社会にとって重要なのだとの認識が大半の人によって共有されているあり方を作るのは重要だ。
ところがいわゆる主流派メディアは、自分たちが正しいとする価値観を社会に押し付けることの危険性を考えず、むしろその押し付けを「報道の自由」の名の下に正当化している。そしてそのいびつさを指摘すれば「自由な報道の弾圧だ!」と反発を喰らうから、政治家はこの最も大切なところでメディアと対決することを選ばない。
なお、放送局が何を番組で扱うかについては放送局の自由であるが、どう扱うかについてはルールが必要になる。それが放送法第4条に示されているわけだが、このルールは私の主張にもつながるところがある。こうした方向性が重視されていないのが今の日本の大問題ではないだろうか。
無料のメルマガの登録をぜひともお願いしたい。(このブログ記事の下↓に登録フォームあり)
※ 日本再興のために、以下のバナーをポチッとしていただけると助かります。
https://nippon-saikou.com/6990
https://nippon-saikou.com/6957
共産党・志位委員長のツイート
https://twitter.com/shiikazuo/status/1456818689165037569?s=20
志位和夫共産党委員長の画像
https://www.jiji.com/news2/kiji_photos/202109/20210924ds80_p.jpg
無料メルマガ
最新情報やプレゼント特典などをメール配信しています!メルマガでのみ公開しているネタあり!今すぐ無料登録しましょう!