人口の5割以上にワクチン接種が済んでいるのに、感染者数のみならず死亡者数も大幅に伸びている国がある。セーシェル、モルジブ、チリ、バーレン、ウルグアイなどだ。
これらの国に共通するのは、中国のシノファーム製のワクチンの利用率が高いことだ。セーシェルで5月第一週に感染が確認された人のうち1/3以上がワクチン接種を終えた人だったが、その大半がシノファーム製のワクチンを打っていたことを、セーシェル政府は明らかにした。
ところで、この件に関して中国でも興味深いことが起こっている。中国では感染が拡大していることを受けて、深センに続いて広州でも市の中心部でロックダウンが再び行われたが、広州ではなぜかワクチン接種が停止になっている。
公式には、ワクチン接種意欲が非常に高まっていることから過密になる事態を避ける必要があり、また医療資源をPCR検査に力を集中させるためだとしているが、これを頭から信じることはできない。
ところでこの一方で同じ中国企業のカンシノバイオ社の天津工場で製造されたアデノウイルスベクターワクチンが広州市に運び込まれた。ワクチン接種の停止を決めたならば、新しいワクチンをわざわざ運び込むことがおかしなことになる。これはシノファーム製のワクチンに問題があることに気が付き、こちらの利用を一旦停止させながら、今後は新たにカンシノバイオ製のもので置き換える方針なのではないだろうか。
ところで、シノファームは2種類の不活化ワクチンを製造しており、医学雑誌JAMAに先ごろ発表された結果によると、WIV04株のワクチンの有効率は72.8%、HB02株を使ったワクチンの有効率は78.1%だとされている。ファイザー製などと比べると見劣りするとはいえ、かなり高い有効率を示していることになるが、これは果たして本当のデータなのだろうか。セーシェル、モルジブなどでその有効性からは信じられない事態が進行していること、中国国内でも広州が接種の停止に踏み切ったことから見ても、シノファーム製のワクチンを信頼することは極めて危険なのではないだろうか。
そして医学データが客観的なものではなく、都合よく改ざんされたものだと考えられるようになると、中国のデータに対する信頼性は医学分野を超えて広がることになるはずだ。国勢調査の人口統計も矛盾だらけであったことも指摘されている。今後はウイルスの起源についても武漢ウイルス研究所だったのを中国政府が隠蔽してきた疑いが強まることは避けられない。中国の公式発表に対する信頼度は確実に下がっている。
私が「それでも習近平が中国経済を崩壊させる」で述べたように、経済統計に疑惑の目が向かうようになれば、中国への投資に対して冷静になり、中国から手を引く企業がどんどん増えていくことになる。それが中国経済に対する決定的なダメージになるのである。
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シノファームの画像
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