安全保障

過去の「ウイルス研究所流出説」否定でのファウチ所長らの動きに注目 集まる! メディアも結託!(朝香 豊)


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アメリカの主流メディアが新型コロナの「武漢ウイルス研究所流出説」を否定し続けていたのは、トランプ政権や共和党の主張に反対するためだったことを、一部の関係者が認めるようになった。

「ニューヨーク・タイムズ」のコラムニストであるデビッド・レオンハート氏は、研究所流出説を唱えたのが反中タカ派の共和党のトム・コットン上院議員で、コットン議員が信じていることをトランプ大統領やフォックス・ニュースが繰り返し述べても、そんなのは間違っているに決まっていると科学者たちも決めつけていたと述べた。

NBCの「ミート・ザ・プレス」の司会者のチャック・トッド氏も、共和党やトランプ政権が偽情報を流してばかりいたから、研究所流出説についても単純にそう思っていたと述べた。

ABCニュースの記者のジョナサン・カール氏は、同社の政治討論番組「ジス・ウィーク」で、「研究所流出説」を否定したのはポンペオ国務長官とトランプ大統領が言い出したことだったからだと半ば認めた。

3人の言い方はまちまちであるが、いずれにせよ共和党やトランプ政権の言うことを先入観から、というよりも恐らくは政治的な思惑から、否定していたことになる。

ところでこの「研究所流出説」をめぐる問題では、アメリカ国立アレルギー・感染症研究所のアンソニー・ファウチ所長が果たしてきた役割にも大きな焦点が当てられるようになってきた。ファウチ所長はアメリカの公衆衛生行政の司令塔のような存在であるが、自己保身のために、あるいはトランプ大統領を嫌う政治的な思惑から「研究所流出説」=「ウイルス人工説」を否定してきたと思われるからだ。

ファウチ所長は「エコヘルス・アライアンス」を通じて武漢ウイルス研究所にアメリカ政府の資金を提供していた。この資金がコロナウイルスの「機能獲得実験」に使われたのではないかと指摘され、今やファウチ所長もこれを否定できないところに追い込まれている。ファウチ所長が「ウイルス人工説」が広がると自分の立場が苦しくなることから、これを否定したい誘惑に駆られたというのは大いに考えられる。

実はファウチ所長のもとには国内外の有力なウイルス研究者から「ウイルス人工説」を疑う連絡がかなり初期の段階から届いていたことがわかってきた。

例えば、スクリップス研究所のウイルス学者のクリスチャン・アンダーセン氏から、早くも2020年の1月31日の段階で「(研究所でウイルス研究を行っており、この日のミーティングで議論を行った)エディ、ボブ、マイク、私の全員が、この遺伝子配列は進化論から予想されるものとは矛盾していると考えている」とするメールを受け取っていた。ちなみにスクリップス研究所は数々のノーベル賞学者を輩出している有名な研究所だ。

2月2日には、新型コロナウイルスにはHIVウイルスの遺伝子と同じゲノム構造が挿入されているとする、インド工科大学のプラダン教授たちが発表した論文について、WHOのテドロス事務局長とバーンハード特別戦略アドバイザーが「コンクラーベ」(秘密会議)を行ってごまかそうとしているのではないかとするメールが、イギリス政府の科学顧問であるジェレミー・ファラー氏からも入っている。

こうした「ウイルス人工説」の広がりについてどう対処すればいいかについて、ファウチ所長が様々な仲間と「相談」をしていたこともわかってきた。

このインド人科学者たちの論文に関しては、AFP通信のイサム・アフメド記者からアメリカ国立衛生研究所のバーニー・グラム氏にコメントを求めるメールが届いている。グラム氏は同僚の研究員のニッサ氏とジェン氏宛てにこの件について「ハイレベルからのアドバイスなしでは回答したくない問い合わせ」だとするメールを送っている。ここで言う「ハイレベル」とは当然「上層部」のことだろうが、この中にはファウチ所長なども入るのではないかと推察される。メールを受け取ったジェン氏は「この論文が査読を受けていないことに触れながら、この記者にコメントを拒否するメッセージを送ることにする」との返信をグラム氏に送った。

こうした中から浮かび上がってくるのは、アメリカの学術界と中国との深い結び付きが仇となった事態に直面して、不都合な事実を隠蔽しようとファウチ所長たちが組織的に動いていたのではないかということだ。

「ウイルス人工説」が確実に正しいと断言できたかどうかはわからないとしても、その疑義があったことは間違いない。その疑義については初期段階から英米のトップレベルの科学者たちも認めていたのである。

私の過去のブログにおいても、フランスのノーベル賞生物学者のモンタニエ博士、オーストラリアのフリンダース大学のペトロフスキー教授、北京大学医学部卒でスイスのバイオテクノロジーの会社で働く董宇紅博士、中国科学院パスツール研究所の崔傑氏、アメリカの生物遺伝学の専門家のウェイラー博士、台湾大学の公共衛生学院の方啓泰教授らが、「ウイルス人工説」の疑いを持っていることを紹介してきた。

多くの有名な研究者たちが疑義を唱えているにも関わらず、「ウイルス人工説」は「根拠のない陰謀論」だとして排除されてきたのである。これは極めて不自然だ。科学的真理よりも政治的な立場が優先された疑いを持たざるをえない。

そしてこの流れにマスコミやSNS企業も一致して行動してきた。特定の考えだけを正しいものだとし、それと相容れない考えを排除するのはファシズムだが、まさにそのファシズムがアメリカでも展開されてきたことの異常性を、我々は見落としてはならない。
  
 
 
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